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作品に込められたたくさんのオマージュ――ドラマ『ルパンの娘』第4話】

2019.08.08

■詐欺被害者の気持ちに寄り添う華

 その頃、華の父・尊(渡部篤郎)らは、新たなターゲットを見つけていた。金塊を隠し持っているという相手は、「国際ロマンス詐欺」の犯人だという。もちろん、いつものパターンで、その捜査に和馬も関わることになる。

 この、「お宝を奪い取るために活動する」というのも、タイムボカンシリーズの大きな特徴である。タイムボカンでは「ダイナモンド」、ヤッターマンでは「ドクロストーン」というお宝がそのターゲットであった。当時は、その展開を面白がって見ていただけだが、大人になって考えてみると、一攫千金を夢見ることの虚しさやおかしさを描いていたようにも思える。

 国際ロマンス詐欺の被害者の一人に、木口智子(山崎静代)という女性がいた。実は智子は、華の務める図書館で、結婚関連の本を借り、その時華と言葉を交わしていたのだ。華は、和馬に裏切られた自分と、詐欺にかかってしまった智子を重ね合わせ、尊らの計画に加わることになる。

 今回出てきた、エミリ、智子、そして華。みんな、どこか不器用でまっすぐで憎めないところが共通している。“結婚”という幸せのために、自分を変えようとする姿が、見る者の共感を呼ぶ。

 いよいよ金塊を強奪しようと犯人・蛭沼(諏訪雅)の家を訪ねた華たちが見たのは、詐欺の復讐として蛭沼に包丁を向けている智子の姿だった。

 立てこもり事件として警察も出動し、大騒動となっている現場。和馬も駆けつけた他、警察の特殊部隊、SATも取り囲んでいた。しかも、SATの指揮をとっていたのは、和馬の父・典和だった。

 厳重な警戒に、一度は諦めようとした尊たちだったが、華の強い思いもあり、警察の目をかいくぐって突入する。蛭沼を刺そうとする智子を、間一髪で止めた華。盗み出した金塊も、騙された女性に返すことにする。

 首尾よくことを済ませ、逃げる尊たちだったが、最後に窓から飛び降りようとした華を、和馬が追い詰める。そこで、仮面をつけたままの華と向かい合う。

 和馬は華に気づいたのだろうか?

 今週はここで終わりだったが、和馬が華に疑念を持つことになれば、また新たな展開が見えてきそうだ。

 さて、来週の予告では、元TBSアナウンサーの田中みな実が、セクシーな泥棒役で登場した。そして、字幕の「女泥棒」の文字につけられたふりがなは「ドロンジョ」。もちろん、ヤッターマンのドロンジョへのオマージュである。

 思えば、タイムボカンシリーズの最大の魅力は、作り込まれたメカやストーリーと、挟み込まれるギャグのギャップにあった。この『ルパンの娘』が受け継いでいるのは、随所に散りばめられたネタだけでなく、この巧みさと笑いの絶妙なバランスであるのかもしれない。

 タイムボカンシリーズをリアルタイムで見ていた人は、40代以上になっていると思うが、元ネタを知らない人でもSNSの反応などを見ながら、少し調べてみると、より一層楽しめることだろう。

(文=プレヤード)

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