作品に込められたたくさんのオマージュ――ドラマ『ルパンの娘』第4話】

YouTubeチャンネル「フジテレビ番組動画」より

 1970年代後半、フジテレビ系列で、『タイムボカンシリーズ』と呼ばれる一連のアニメが放送され、大人気となった。当時ダイレクトにターゲット層であった私は、毎週夢中になって見ていたものだ。

 放送終了後、時代を経てもその伝説的な人気は衰えることなく、2009年には、シリーズのひとつ『ヤッターマン』が実写映画化された。そこで悪役の親玉・ドロンジョを妖艶なコスチュームで演じたのが、他ならぬ深田恭子であった。

 ドラマ『ルパンの娘』(フジテレビ系)の随所に、タイムボカンシリーズへのオマージュやパロディが見られることは、多くの視聴者が気づいていることと思う。盗みをはたらく時に、三雲家の人たちが身につけるスーツや仮面などが、影響を受けているのはわかりやすいだろう。今回は、少々の野暮を承知の上で、その他の類似点などを解説しながら、話を振り返ってみたい。

 

■現れたお見合い相手

 華(深田恭子)との結婚を、母・美佐子(マルシア)に反対されていた和馬(瀬戸康史)。しかし、SNS強盗の一件で、美佐子は華の力を評価し、和馬の結婚相手としてふさわしいと認める。結婚に向け、順調に進むかと思われたが、和馬の父・典和(信太昌之)が、元警視総監の孫娘・橋元エミリ(岸井ゆきの)と結婚するようにとの話を持ち出し、またしても壁が立ちはだかってしまう。

 警察幹部の一族であるエミリからの結婚の申し出を断り、相手の顔に泥を塗ったとなれば、警察の中で和馬の出世の道は断たれてしまう。悩む和馬に、美佐子が助言をする。それは、「お見合いをして、相手に嫌われるようにしろ」というものだった。バカ真面目で面白みのない和馬であれば、普通にしていれば相手から断ってくるだろうという算段だった。

 お見合いの日、現れたエミリは、少し変わった女性だった。「異性に見られると何も話せなくなる」と言って、目を合わせることを拒み、俳句が趣味ということで、なぜか話す言葉も七五調になっている。

 クセの強い役を、岸井ゆきのが好演している。どこか生きづらそうにしていながらも、和馬に恋する姿が、不器用だけれど愛らしい。岸井の人気も秘密は、こんなところにあるのだと思う。

 二人のお見合いを偶然見ていたのが、毎回出てくるミュージカルシーンでおなじみの華の幼馴染・円城寺(大貫勇輔)であった。彼はそのことを華に報告する。和馬とエミリが一緒に写った写真を見せられた華は動揺し、二人が会うことになっている喫茶店で待ち伏せをする。

 ここで円城寺が取り出したのが、カブトムシ型のメカ。ここである。実は、タイムボカンシリーズの第一作、タイムボカンで、主人公たちが乗り込んでいたのが「メカブトン」という名のカブトムシ型の乗り物なのだ。ちなみにこのメカブトン、中には「テントウキ」というてんとう虫型の小型機が積み込まれている。もちろん、華の兄・渉(栗原類)か作り上げた「てんとう虫マシン」は、これへのオマージュに間違いないだろう。

 喫茶店で、和馬はエミリに対し、やはり付き合えないことを告げる。それをカブトムシの盗聴器で盗み聞きしていた華だったが、やりとりを勘違いし、和馬とエミリが付き合っているように誤解してしまう。ここのやり取りが実に巧みだ。

 その結果、お互い誤解を抱えたまま、華と和馬の関係はギクシャクする。

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