『フルーツバスケット』いじめられた経験があったのなら胸に染みたはず?透の言葉がいまも傷ついている誰かに届いてほしい…

2019.08.05

TVアニメ「フルーツバスケット」公式サイトより

<第18話>大切なのは……

 透と由希が雨宿りをしていると、びしょ濡れの潑春が歩いてきた。どうやら探し物をしていたらしい。見てみると、腕の中に虎の子供が! 透は思わず「かわいい猫さんです……!」と手を伸ばすがガブッと咬まれてしまう。この虎の名前は草摩杞紗。十二支のひとりだ。だが、杞紗は中学校に入ってから話すことが出来ないという。

 今回の『フルーツバスケット』は原作5巻収録分の話、そう杞紗の登場回である。

 十二支のひとりである草摩杞紗。寅の干支だ。かわいい。猫みちたいだ。しかし心の中が傷だらけで、警戒心の強い状態の杞紗は、初対面の透の手に噛みついてしまう。

 その傷の原因は、自分が十二支であるがゆえの普通の人とは若干違う見た目で、学校でいじめられてしまうこと。そして十二支の親は拒絶か過保護かのどちらかになると言われている中で、杞紗の母は拒絶が強かったこと。それらが重なり、心身に支障が出てしまっていたところを潑春が、気にかけてくれていたのだ。

 十二支のことは十二支しか分からない部分もあるからか、みんながそっと互いを支えあえているのが素敵だ。特にハルはなんていい子……。
 
 今回の話、いじめを受けたことがある人は全体的に思い入れが強い話だったのではないか。杞紗と由希、そして透が過去にいじめられていたときの話が出てくるのだが、その際の透が言う、お母さんに知られてしまったときの気持ちの怖さにひどく共感できる。時間が経ったときにこの言葉に出会って、何度救われたことか。一番触れてほしくない記憶に薬を塗ってくれる透の言葉が、いまも傷ついている誰かに届いてほしい。

 今回は杞紗の話ではあったが、由希の救済の回でもあった。由希も色々と思うところがクリアになり、生徒会選挙に参加することを決めた。これまでだったら絶対にやらなかったことを自らやるようになるってすごいごとだ。

 杞紗が出てきたということは、もうひとり大事なキャラクターの出番も近いということだ。しかしその前に消化されていないあの話やこの話がくるのだろうか……。

 キョンの出番が少ないからあの話も欲しいし、由希といえばあの話もだし……。魚編が変則的に挿し込まれたことによって話の順序が予測できなくなってきた。そういった変更点も含めて続きが楽しみだ。
(文=三澤凛)

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