“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.30

「推し」とは一体なんなのか?――ドラマ『だから私は推しました』第1話

 今年1~3月に放送され、好評を博したドラマ『トクサツガガガ』(NHK総合)でも、劇中で使われるドラマや音楽のクオリティの高さが話題となったが、今回のドラマでも、「サニーサイドアップ」のメンバーや楽曲、衣装、フリなどに同様のこだわりを感じる。

 キャスティングにしても、凛怜役の田中珠里は、オスカーのアイドルユニット「X21」のメンバーであったし、紀子を演じている天木じゅんは、グラビアでの活躍が有名だが、元々はアイドルユニット「仮面女子」のメンバーとして活動していた。彼女たちはその経験を活かして、よりリアルなアイドルを演じてくれるのではないか期待される。

 また、地下アイドル考証を、ライブハウスの受付役で出演もしていた、元アイドルの姫乃たまが行っていることもあり、ライブの様子などもかなり実像に迫っている感じがする。

 花梨(松田るか)推しのオタク・小豆沢(細田善彦)のセリフ「結婚しよう!」などというのは、アイドル現場では普通に飛び交う言葉である。ちなみに、こちらも本気で結婚しようという意味ではなく、「今日もかわいいよ」という意味合いぐらいに思っておけば間違いない。

 そして、「アイドルオタク」というものに注目が行きがちだが、ドラマのテーマとしては、愛とハナという2人の女性の生き方を探っていく物語であるように思う。この点では、現在放送中のドラマ『凪のお暇』(TBS系)にも通じるものがある。あちらの主人公の見つけた“安住の地”が、都心から離れたボロアパートであったように、愛やハナの見つけたそれは、地下のライブハウスだったということなのだろう。

 ドラマの中で出てきた、愛が重いライブハウスのドアを開けるシーン。あれは、自分の人生の新しい扉を開けることの象徴のようだった。私も昔、初めてライブハウスに足を運び、少し勇気を出してその重い扉を開けた時、新しい世界が広がるような、秘密も場所に立ち入ってしまうような興奮を感じたものだ。そして、事実、一度開けた扉の向こうには、驚くほどたくさんの未来が待っていたのだ。

 多くの話題をもって始まったこのドラマ。アイドル現場を知らない人は、新たな世界を覗き見るような楽しみ方ができるだろうし、知っている者からすれば、自分の経験を重ね合わせで楽しむことができるだろう。

 今回は、「推し」という言葉に注目して書いてみたが、次回以降も、そこで取り上げられるアイドル現場のあれこれを、経験も踏まえて考えていきたい。

(文=プレヤード)

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