【インタビュー後編】

「チケット不正転売禁止法」対象になるために必要な努力義務とは? 転売ヤー対策をぴあに聞く

■ぴあが行う転売対策~ID登録から入場時まで~

――ぴあとしては、どのような転売対策を行ってきたのでしょうか。

東出 ①ID登録時 ②購入時 ③入場時で、それぞれ対策を行っています。

「①ID登録時」による対策としては、登録者の本人確認があげられます。当社を含め多くのチケットエージェンシーは、電話番号認証を行い、電話番号1つにつき1IDを付与する形で、複数ID取得の対策を行っています。

 次に「②購入時」においてですが、今はウェブでの抽選販売が主流です。そこで当社をはじめ各チケットエージェンシーが「これは不正な申し込みだ」と見抜くノウハウを蓄積しています。こちら、詳細は不正の方法になってしまうためお話することはできないのですが。

 あと「チケットの発送を極力遅らせる」も以前から取られている対策です。「現物のチケットがないので二次流通する機会を減らし」かつ「席番などを教えず、チケットの価値を購入者に知らせない」という二つの転売抑止効果があります。電子チケットの場合、入場時まで席番が判明しないものもあります。サザンオールスターズなどはそうしていますね。

 最後に「③入場時」ですが、まずは「本人認証」ですね。券面に本人の名前を入れて、本人でない場合は入場できない。本人確認は購入者のみチェックし同行者はチェックをしないところもありますが、厳しい場合は同行者もチェックされます。

 ですが、この同行者のチェックには賛否両論があります。チケット買うときに誰と行くか決めて買う人もいますが、とりあえず買って誰かを誘おうという人もいたり、購入から公演までは間がありますから、一緒に行くはずだった人と行けなくなったり、ということもあったりします。

――確かにネットでしかつながっていないオタ友の場合、同行してくれるはずだった相手が「推し変」して音信普通になる……というケースはありそうですね。

東出 そのため、実際の同行者は一人だけれど、チケット申し込み時には「同行者の候補」を何人か登録できるケースも増えていますね。なお、入場において今一番厳しいのは「顔認証」ですね。

――空港みたいですね。

東出 はい。コンサートの入場が年々、まるで国外に出るときのような厳重なチェックになりつつあります。

 不正を働く人が増えたために、不正を働くつもりのない正規に楽しみたい人が、気軽に誘ったり、チケットをあげたりなどがしづらくなっている現状に、個人的には思うところもあります。

 

■高額転売されたチケットを主催者が当日「無効扱い」するケースも

――ぴあでの転売対策をうかがってきましたが、それとはまた別に、転売サイトなどですでに高額転売がされているのを見つけたときに、ぴあとしてはどういった対策を取られているのでしょうか。

東出 こちらは当社単体というより、主催者の方と一緒に行っています。チケット転売サイトでチケットが高額不正転売されているときに「入場時に本人確認をするので転売サイトで購入されても入場をお断りします」とクレームを入れ、出品を取り下げるよう要請するケースもあります。

※チケット不正転売禁止法において、処罰の対象は売主(売主が転売目的で購入した場合も含む)

※チケット不正転売禁止法において、処罰の対象は売主(売主が転売目的で購入した場合も含む)。

――東宝のミュージカル『レ・ミゼラブル』ホームページでは、高額不正転売が行われていた座席番号が公式ホームページで掲載され「もしご購入者ご本人でないと弊社が判断した場合は、ご入場をお断りする場合がございますので予めご了承くださいませ」と記載がありますね。

「チケット不正転売禁止法」対象になるために必要な努力義務とは? 転売ヤー対策をぴあに聞くの画像3
東宝によるミュージカル『レ・ミゼラブル』ホームぺージから。転売サイトでのチケット番号を公開

東出 ほか、チケットエージェンシー各社と連携して、不正転売サイトにクレームを入れることはずっと続けています。

 チケット不正転売禁止法の適用前までは、ファンクラブに入り自分で行きますと言いながら、そのチケットを転売していた場合、今までは「詐欺罪」を適用しての摘発でした。「営利目的の転売をしないで」と書いてあるチケットを転売しているから問題なのだと。

 今回チケット不正転売禁止法が施行されたことで、「特定興行入場券」に該当するチケットの転売は同法の適用になり、わかりやすくはなりましたね。ただ、特定興行入場券以外の興行は法律施行後も、施行前と同じグレー状態のままです。

 全部のチケットが特定興行入場券になればいいのでしょうけれど、なかなかそうはいかない事情もあります。興行主にとってハードルの高い努力義務である「本人確認」をどの程度のレベルで行っていけばいいのかといったことを、今後業界全体で検討していく必要はありますね。

* *

 チケット不正転売禁止法の施行にあわせ、(社)日本音楽制作者連盟、(社)日本音楽事業者協会、(社)コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会、(社)日本2.5次元ミュージカル協会の音楽・エンタメ業界5団体および8社が連携し「チケット適正流通協議会」が発足している。

 当協議会では、正規の二次流通サービスであることを表示する「FT(フェアチケッティング)マーク」の運用や、チケットの券面に「特定チケット」と表記する事で特定興行入場券として販売されていることをわかりやすく伝える取り組みなど、チケットの適正な流通のための活動を行う。

「チケット不正転売禁止法」対象になるために必要な努力義務とは? 転売ヤー対策をぴあに聞くの画像4
正規の二次流通サービスであることを示すFTマーク

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/])

 

◆石徹白未亜の過去記事はこちら(【おたぽる】【日刊サイゾー】)から◆

「チケット不正転売禁止法」対象になるために必要な努力義務とは? 転売ヤー対策をぴあに聞くの画像5★好評発売中!!
『節ネット、はじめました。 「黒ネット」「白ネット」をやっつけて、時間とお金を取り戻す』(CCCメディアハウス)

「チケット不正転売禁止法」対象になるために必要な努力義務とは? 転売ヤー対策をぴあに聞くのページです。おたぽるは、インタビューその他の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

人気声優は大変だね・・・
消えない声優業界の枕営業伝説