『サクセス荘』完全ファン向けの構成に少々退屈? しかしもっとも番組コンセプトに合った演出だった第3回レビュー

2019.07.28

テレビ演劇 サクセス荘7月25日(木)放送分より

 2.5次元舞台で大人気の俳優による本番一発勝負のテレビ演劇『サクセス荘』の第3話『真夜中のパジャマパーティー』がオンエアされた。

 今回は初登場キャラクター・ケントという漫画家志望のキャラクターが主役。ケントのネームをみんなでこねくりまわすというだ。ネームを元に登場キャラクターがその場を再現するのだが、今までで一番コンセプトに合っているように感じた。

 劇中劇を途中で始めるので役者らしさが出るし、即興のハラハラ感も出ている。しかし正直冒頭の怖い話は、オチに脅かすユッキーを追うカメラ映像が入ったりしたことで視聴者には驚きゼロ。ただただ出演者が騒いでいるのを見るだけ……というファンなら嬉しいかもしれないがあまりにも退屈で、チャンネルを変えたくなった。ファン向けの番組なのは重々承知だが、番組のコンセプトが好きで観ている層もいることを知って欲しい。

 ケントの作っている漫画は冒険あり、恋愛ありの学園もの。絵も漫画がどうこうのレベルじゃないし、ページ数も全然ない。しかし、チャップをはじめとするメンバーはストーリーを絶賛。考えが煮詰まっているケントを応援するために、みんなでアイデアを出しあうことになる。

 劇中劇が始まる時に場転(場面転換)シーンが入るのは、舞台っぽくて良かった。舞台の中の場転と同じく、その場にいる役者が大道具小道具を移動させる感じや、背面スクリーンに学校の絵などを映し出したり。2.5次元舞台がテレビで見れるってこういうのだ、という感じであった。

 物語のラスト、カットがかかると一瞬だけ素の彼らのシーンが映りこむ。オチで出てくるユッキーが「グダったと思ったから入ってきた」と言っていたように、役者自身もグダっとした空気は感じているようだ。

 一発本番というコンセプトは大事だが、だからこそ台本なり演出なりをもっと頑張ってほしい。次回はみんなで料理対決とのことだが、それならいっそバラエティ番組に変更してもいいのではないだろうか。しかし、ファンは嬉しいのだろう。ファン獲得か既存ファンに沿う番組作りか。どちらも求められている中で、今後どちらをも楽しませる内容が飛び出てくるのを期待したい。
(文=三澤凛)

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング