第4話レビュー

『わたし旦那をシェアしてた』素材が良いのにつまらない…シングルマザーへの偏見を生み出しそうで不安になる

2019.07.26

 パワフルファイティングミステリードラマ『わたし旦那をシェアしてた』の第4話がオンエアされた。

第4話
 晴美(小池栄子)は、同僚の香織(黒沢リコ)からパワハラで訴えられ、示談金300万円を要求される。仲良くしていた後輩の思いがけない行動に、驚く晴美。
 茜(岡本玲)は、慎香(池谷美音)を病院に連れて行く。慎香は心臓の病気の可能性があり、重度の場合はかなりの治療費が必要になると医師に言われる茜。
 加奈子(りょう)は、元夫の尚之と話し合うことに。加奈子は、尚之と離婚する前に加奈子と別の男性と密会していた7年前の動画を見せられる。しかし、加奈子には身に覚えがなかった。尚之は加奈子がかつて不倫していたと決めつけて慰謝料300万円を要求し、払えないなら透(牧純矢)の親権を渡せと迫る。
 多額の金が必要になった晴美、加奈子、茜。晴美が3億円を山分けにしないかと持ち掛けると、加奈子と茜も同意する。しかし、その話を聞いていた文江(夏木マリ)は「山分けは許さない」と釘を刺す。
 文江から与えられた次の課題は“恭平の好物を言い当てろ”というものだった。あまりに簡単過ぎると晴美たちは拍子抜け。しかし、3人はそれぞれ、まったく違う食べ物を挙げる。恭平はおいしいと言って食べていてくれたはずなのに…と困惑する晴美たち。それこそが恭平のついていた“第4の嘘”だった。文江は、恭平が本当に好きだった食べ物を導き出すようにと告げる。
 晴美たちは、急いで金の工面をする必要に迫られる。加奈子は透を絶対に手放さないためにも3億円を手に入れなければならないのだが、どうしていいか分からない。そんな中、秀明(赤楚衛二)が加奈子に、協力したいと申し出る。彼は森(黒木啓司)から、加奈子を騙せと命じられていたのだ…。

 内縁の妻三人それぞれのエピソードが展開されているが、今回はりょうの演じる加奈子メインのストーリーだ。

 突然3人ともが「300万円」が必要な事態に見舞われる。部下からパワハラの告発示談金、子供の医療費、そして元夫から不倫疑惑の慰謝料として。

 このドラマはとにかく、素材が良いのに調理法が悪い。ハプニングが起こるきっかけが唐突すぎて説得力がない。

 もちろん今回の話のっとっかかりとして、全員が急遽お金を欲しがるというシチュエーションを作らなければならなかったのだろう。しかし、視聴者をミスリードできるわけでもなく製作者の意図が丸見えの話の展開を見守るだけなので、ワクワクさせらたりドキドキしたりどうなるのかと展開を予想するような楽しさを感じることは出来なままだ。

 「シングルマザー」という言葉が多様されているが、このドラマを通してシングルマザーの新しい形を提示というわけでもない。むしろ傷ついて、バツイチ女性は結局は誰かを頼らざるを得ないのだということが、どんどん浮彫になっていくようでもある。

 物語が進んで行くにつれて天谷恭平が三人のシングルマザーを内縁の妻とし生活を支えていたのも、死後にシェアハウスで暮らせるようにしたのも彼女たちのためだとは思いたいが、果たして結果はどのように出るのだろう。気軽にネタにしてこき下ろしていい題材ではないが、見終わった後にシングルマザーへの偏見などが減ることを願わずにはいられない。

 放置されていた天谷恭平実行犯の一味が、来週とうとう3人に接触を図ってくる。次回予告では第二章と津に悠という記載があったが、今回の話で締まったようには全く思えなかった。
視聴者を置いてけぼりにせず、かつ引きこまれるような展開を期待したい。
(文=三澤凛)

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