散りばめられた“小ネタ”を楽しむべし!――ドラマ『ルパンの娘』第3話

2019.07.26

フジテレビ系『ルパンの娘』公式サイトより

 

 それにしても、東京ガスのCMは見事だ。

 何が見事って、深田恭子に『うる星やつら』のラムちゃんを演じさせるというのがいい。さすがに本家のラムちゃんのように、トラ柄のビキニ姿というわけにはいかないのだろうが、ツノを生やして電撃を浴びせる姿や、「だっちゃ!」というセリフに違和感はなく、よくぞこの組み合わせを考えたと感服させられる。

 女優にもいろいろなタイプがあって、自身の持っている「清純さ」や「かっこよさ」を突き詰めていく人もいれば、少々エキセントリックな役柄も含めてやりきってしまう、幅の広い人もいる。

 深田恭子はまさに後者であり、だからこそ、ラムちゃんを演じても違和感がないのだ。もちろん、その能力は、ドラマ『ルパンの娘』(フジテレビ系)でも遺憾なく発揮されている。

 迎えた第3話。今回は、嫁姑問題から始まった。

 

■疑念を抱く和馬の母

 祖母のマツ(どんぐり)に、彼氏・和馬(瀬戸康史)が警察官だと知られてしまい、困った華(深田恭子)。しかし、マツは両親に秘密を守ってくれているようだった。

 一方、桜庭家では、和馬の母・美佐子(マルシア)が、華に疑念を抱き、その正体を暴こうとしていた。

 自宅に華を招いた美佐子は、料理を手伝わせるふりをして、華の指紋や血液などを採取する。そして作り上げた料理、それはなんとカツ丼だった。一瞬、「なぜカツ丼?」と思ったが、和馬の父・典和(信太昌之)の言葉でその意味が明らかになる。

「カツ丼か。刑事課時代の取り調べを思い出すな」

 実際の取り調べでカツ丼が出されるかどうかはわからない。しかし、古くからドラマの世界では、取り調べといえばカツ丼である。つまりこれは、華の身辺を調べるという、美佐子の決意を表しているのだ。

 この、「古くからのネタを効果的に使う」というシーンは、続いて表れる。和馬の祖父・和一(藤岡弘、)と相まみえた華は、和一の振り下ろした日本刀を、両手でしっかりと受け止める。そう、「真剣白刃取り」である。

 若い人にどこまで伝わるかはわからないが、昔、ドラマや小説の中の剣術の達人は、この真剣白刃取りをしてその能力の高さを示したのである。もちろん、こちらも実際にできる人がいるかどうか定かではない。ただ、ここでこのネタを持ってくるセンスは素晴らしいと思う。

 美佐子の疑念を知り、結ばれない運命と感じた華は、あらためて和馬に別れを告げる。しかし、何も知らない和馬は別れを受け入れない。悩んでいる華を見て、マツは作戦を考える。「手柄をあげ、捜査一課に移ることができれば、華と結婚できる」という和馬に、うまく犯人を逮捕させ、結婚へと持ち込もうというのだ。

 和馬が今追っているのは、SNSで情報をつかみ、盗みをはたらくという「SNS強盗」だった。マツは、その犯人を桜庭家におびき寄せ、逮捕させようというのだ。

 和馬の家の写真に、マツが、大金持ちの女性を装った写真を合成する。写真を見た華がつぶやく「どこかのホテルの社長みたい……」。ここで、アパホテル社長のネタが挟み込まれているのだ。

 この、次々と出てくる小ネタが実に面白い。これに気づくだけでも、ドラマがより一層楽しめることだろう。

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング