京アニ放火殺人事件に「オタク叩きがはじまる」と偏向報道を懸念することの愚かさ 本当の被害者はどこにいる?

2019.07.26

京都アニメーションの公式サイトより

 京都アニメーションで起きた放火殺人事件で、26日、京都県警はさいたま市にある青葉真司容疑者の自宅アパートを家宅捜索した。捜査車両に積まれた押収物の中には、筒状の巨大なスピーカーが確認されている。青葉容疑者は近隣住民と騒音トラブルがあったとすでに報じられている。

 アニメの制作スタジオで発生した凄惨な事件。発生当初からネット上には「オタク叩きがはじまる」「オタクは悪くない!」などいった、マスコミによるオタクバッシングを懸念する声が上がっていた。今回、容疑者の自宅が家宅捜索されたことで、「部屋の中からアニメグッズが出てきたら……」という不安の声が広がっている。

 5月の川崎殺傷事件でも岩崎隆一容疑者の自宅に「テレビとゲーム機があった」と報じるメディアがあり、ネット上で報道に対する批判の声が集まった。今回も青葉容疑者について「オタクっぽい風貌」「自宅からゲーム音楽のような音が漏れていた」といった報道がされている。「彼が好きだという『ガンダム』のアニメを見ました」という青葉容疑者の小学校の同級生のコメントを掲載した週刊誌もある。これらを見て、「オタク叩きがはじまった」と辟易する声が上がっている。

 たしかに、マスコミには“前科”がある。80年代後半に発生した「宮崎勤事件」での報道がそうだろう。この事件をキッカケに「オタク=犯罪者予備軍」という偏見が生まれたとされており、以後に発生した事件でもオタク趣味と犯罪を結びつけるような報道がされてきた。「フィギュア萌え族」という造語が作られ、オタクが犯罪者呼ばわりされた時期もあった。

 近頃の報道はその時期と比べるとどうだろうか。マイルドになったからよし、というわけではないが、「マスコミはオタク叩きをやめろ」「オタクは悪くない!」と声を上げるものは一旦冷静になるべきだろう。過剰に反応しすぎた。本当の被害者はどこにいるのか、今一度考えるべきだ。

 マスコミに怒る前にするべきことがある。現在、京都アニメーションでは支援金を受け付けている。預かり口座開設から1日足らずで3億円近くの支援金が寄せられたと報告されているが、京アニの代理人は「数十億円規模の財団を形成しないと、被害回復は図れない」としている。まだまだ支援が必要だ。
(文/編集部)

■京都アニメーション/ご支援の御礼とご案内
http://www.kyotoanimation.co.jp/information/?id=3075

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