第3話レビュー

『Heaven?~ご苦楽レストラン~』伊賀の母が毒親すぎて観ていて不快!?仮名子とのキャラかぶりで観ていてイライラ!

2019.07.24

 オーナーのオーナーによるオーナーのためのお店!? 問題だらけの至極のフレンチコメディー『Heaven?~ご苦楽レストラン~』。第3話がオンエアされた。

 「ロワン・ディシー」では、店長の堤(勝村政信)が頭を抱えていた。予約の電話を受けたコミドランの川合(志尊淳)が致命的なミスを犯したのだった…。
その夜、店は予約で満席。フロアが大混乱する中、仮名子(石原さとみ)がアクシデントに見舞われ、伊賀(福士蒼汰)はその対応に追われる。
 すると山縣(岸部一徳)が堤と川合を手招きする。山縣が指さした先には、仮名子の席に座る女性の姿が…。押しの強いその女性は、伊賀をみると「観!!」と親しげに呼ぶ。その女性は観の母・勝代(財前直見)で、観を長崎に連れ戻そうと東京にやってきたのだった。
 仮名子と勝代は、似た者同士でそれぞれの都合で観を自分のそばに置いておきたいと必死。「ロワン・ディシー」の”サービスの要”伊賀をめぐる仮名子と勝代の争奪戦が幕を開ける!!

 やっとこのドラマにも慣れてきたというか、石原さとみ演じるオーナー仮名子の横暴っぷりが馴染んできていた。しかし、それが2倍になるとその慣れもかき消されてしまう。

 今回は、伊賀の母が突然やってきてドタバタを巻き起こすというストーリー。冷静沈着で気が利く、ロワン・ディシーの良心である伊賀。さぞや素敵な両親に教育されてきたのだろうと思ったら、かなりの毒親に育てられた故の反面教師だったのだ。

 予約の電話で満席だと伝えると、暴言を吐いた。このあたり、まともな大人と思えない。スタッフの案内もなしにリザーブの札が置いてある席に勝手に着き、「満席なんて嘘でしょ」と宣うのもいかがなものか。

 ドラマの中だから誇張して描かれているだろう伊賀の母。にしても、その言動は全体的にアウトというか、不快感しか感じ得ないキャラクターとして映った。

 作品の中には仮名子という傍若無人キャラが第1話から君臨している。石原さとみが豪快に笑い、豪快に無理難題を言い、それに振り回されるスタッフが最終的に物語をまとめるという型があるし、何よりもキチンと魅力的な部分(演じているのが石原さとみというのが大分大きい)が描かれているゆえに、そのキャラクターも受け入れられていた。だが、その仮名子に中身が似ているというキャラクターが出てきたら、その成分は過剰すぎだ。

 そもそも母は伊賀を連れ戻しにきたという。その理由が「観がいると便利だから」。一体なんなのか。成人男子を捕まえて言う理由とは思えない。そして彼がレストランで働くきっかけとなった大学受験失敗のエピソードも愕然としてしまった。親だからといって何でもかんでも傍若無人な態度が許されるのだろうか……。でも実際にこういった人間はいる。自分の思ったままに行動することが第一で周りの迷惑を省みない人。いるけど、これって……。

 案の定、放送直後のTwitterには「#Heaven?ご苦楽レストラン 毒親」というワードが飛び交っていた。

 原作ではイラっと来つつも、面白く読める話だったそう。だとしたらこれはドラマの価値を下げる作り方をしてしまった。今回はなぜか10分拡大放送だったが、一体何を見せたくて拡大したのだろうか。先週のシェフが成長を遂げた話は素敵だっただけに本当に残念だ(今週またパンチがないって言われていた……)

 それでも「母のことは嫌いではない」と言い切れる伊賀の懐の広さに驚くばかりである。ドタバタの筋にあった傘の話は、毒親によってかすんでしまったが、志尊淳演じる川合の演技も相変わらず無理があるように見える。

 このドラマの見どころは、美味しそうな食事と伊賀の人間性と、石原さとみの美貌のみな気がしてきた。ぜひストーリーの面白さで、続きが観たいと思わせてくれる展開を期待したい。
(文=三澤凛)

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