“お約束”が見えるとドラマは何倍も楽しくなる――ドラマ『ルパンの娘』第2話

フジテレビ系『ルパンの娘』公式サイトより

 今から30年ほど前、徳川埋蔵金がブームになったことがある。

 江戸時代末期、徳川幕府が終わる時に江戸城にあった莫大なお金が、群馬県赤城山中に密かに埋められたというもので、当時放送された『ギミア・ぶれいく』(TBS系)という番組で度々発掘の様子が特集され、話題となったのである。

 このような例からもわかるように、実際にあるものかどうかは別にして、歴史上の人物の財宝や遺品といったものは、どこか我々の興味を刺激するところがある。アニメ版の『ルパン三世』(日本テレビ系)でも、「ヒトラーの遺産」や「ツタンカーメンの財宝」といったアイテムが登場し、見ていて非常にワクワクしたのを覚えている。

 『ルパンの娘』(フジテレビ系)第2話。今回三雲一家が狙うのは、そんな歴史もののひとつ、「秀吉の茶釜」であった。

 

■息詰まる両家の対面

 華(深田恭子)と結婚するにあたり、三雲家の素性調査を行った和馬(瀬戸康史)。報告書に書かれていた、華の父・尊(渡部篤郎)の職業は、「ハイパーソーシャルクリエイター」というものだった。それを和馬から伝えられた華は、予想外の職業に驚きを隠せない。

 この職業、実は、ネット犯罪を得意とする華の兄・渉(栗原類)が、ハッキングにより書き換えたプロフィールだったのだ。しかも、職業を知った和馬の家族が、早々に華の自宅に会いに来てしまった。

 和馬の父・典和(信太昌之)、母・美佐子(マルシア)と相対し、緊迫した雰囲気を漂わせる華の父と母・悦子(小沢真珠)。このシーンは、まるで上質な舞台を見ているかのようだ。警察官としての嗅覚と泥棒の感覚、それぞれの腹を探り合いながら、牽制を続ける。そこに絡んでくる祖母・マツ(どんぐり)のおとぼけが面白い。

 緊張した空気を破ったのは、意外な共通点だった。典和と尊は、ともに高校野球をやっており、当時対戦したこともあったのだ。そこで一気に距離を縮める二人。華と和馬の関係も進展するかと思われたが、和馬の母・美佐子の考えは違っていた。

 美佐子は、代々警察官一家としてやってきた桜庭家の伝統を継続させるため和馬と別れてくれと、改めて華にお願いしに来たのだ。実際、その立場の違いに悩んでいた華は、それを受け入れる。「なんとかして和馬と別れなければ」。そう考え、和馬への伝え方を考える。

 そこに現れるのが、華の幼馴染み・円城寺(大貫勇輔)だ。例によって派手なミュージカル調で別れを指南する。

 まずは、急に「会いたい」とワガママを言う。相手が困っているところで、決定打を放つ。

「私と仕事どっちが大事なの?」

 その一言で嫌われるのは間違いないというのだ。しかし、華は和馬に電話してみたものの、そこまで言う勇気はなかった。

 その頃、捜査三課では、続発する「アポ電強盗」の犯人逮捕に全力を挙げていた。しかし、捕まえられるのは末端の犯人、いわゆる「受け子」だけで、背後の組織までは見えてこなかった。和馬は、「お年寄りを食い物にするやつを絶対に許さない」と、元締めの逮捕を誓うのだった。

 一方、早くもその背後にいる黒幕を見つけ出し、彼が持っているという「秀吉の茶釜」を盗もうとしたのが、三雲一家だった。

 犯人を逮捕しなければならない和馬と、犯人を知ってしまった華。またしても華は葛藤する。和馬に手柄をあげさせたい、しかしそのためには自分が泥棒として証拠を手に入れなければならない。

 ここの演出も面白い。天使の華と悪魔の華が現れ、それぞれ心の声を話す。悪魔の華は言う、「この前盗みに入ったとき、本当はドキドキしたんじゃない?」。

 そこで、華は自分の本当の気持に気づく。自分の中に隠れた三雲一族の泥棒としてのDNAがあることに。

 葛藤の末、華は犯人逮捕を優先させることに決め、和馬に電話をする。そして言うのだ。

「今すぐ会いたい。私と仕事どっちが大事なの?」

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