『フルーツバスケット』キャラの心理描写を的確に表した原作からの良改変が胸にしみた第15話

2019.07.14

 今回の『フルーツバスケット』は5巻の話を丁寧になぞったストーリー。

<第15話>そうでもないさ
 お泊りをしようと紫呉が急に言い出したので、はとりの運転する車で透達は別荘へやって来た。別荘から見える湖に感激する透だったが、お墓参りをした日から妙に塞ぎ込んでいる由希と夾のことが気になって仕方ない。湖まで散歩に出るも2人の空気は重いまま。耐え切れなくなった透は、自分に不手際があったと思い込み……。

 草摩には別荘や保養所が一体どれくらいあるんだろうか。行くぞ! って唐突に言って行けてしまうのうらやましい。はとりの車でバビューンと湖の近くの別荘へ向かう一行。楽し旅行になるかと思いきやもちろんハプニングはつきもので……。

ハプニングその①

 由希と夾が険悪な関係なのは昔からだが、今回は口喧嘩もしないほどに空気が重いふたり。明らかにあのお墓参りの日から様子がおかしいことから自分が原因なのでは、と思い悩む透は頭を下げるが、当のふたりは透に謝られる覚えもなく慌ててしまう。

 このすれ違い…! ふたりが思い悩んでいたのは今日子さんのお墓参りがきっかけではあるものの、全然透君がか何かしたとかではない。兎にも角にもふたりが不器用だったことが原因で透君に余計な心配をかけたことを悟ったふたりはやっと周りを、透君への配慮に気づいたのでした。

 仲直りのきっかけになった、ジェイソンこと熊の足跡。透たちが行ったところは熊がいるところなのだろうか。紫呉に騙されて、ジェイソンが新種の熊だと思い込んでいるおバカな夾と透がかわいい。そのあと由希に説明されてもホラー映画にクマが出てくるってことだと思い込んで怒っているのも、ひたすらにかわいい。 

ハプニングその②

 あーや襲来。最初は紫呉が冗談で由希の兄である綾女を呼ぼうかと言っていたのが、なぜか本当にやってきたあーや。怖い。あーやがひとり来ただけで10人分くらいの騒がしさなので画面が大分賑やかになる。

 もちろん由希も夾もあーやといるとだいぶ怒りがたまるため、さっさと退場。マブダチトリオだけの時間と相成った。

 そもそもあーやが来た理由のひとつが、はとりの元恋人佳奈の結婚式の写真をはとりに渡すためだった。もう佳奈との未来がないとは分かっていても、元恋人の結婚式写真って見たくないものだ。あーやなりの気の使い方なのだろう。

 はとりの声にはいまだ違和感はあるが、あーやがはとりをとても慕っていて、もっともっとこの結婚式を挙げた佳奈よりも、2000倍幸せになることを望んでいると宣言するシーンはとても良かった。

 分かりづらいが、マブダチトリオの3人がお互いを思いやっているやり取りは、見ていて温かい気持ちになれる。お互い言葉で言ってることは結構辛辣なのだけれど、取っている行動に愛と思いやりが溢れている。

 

 今回の話も原作に沿った展開だったのだが、あーやの台詞で原作だと顔が隠れていたシーンがアニメだと表情がついていた。佳奈が記憶を取り戻したらもう一度ラブラブになれるかもしれないよ、というこのシーンだ。あーやの顔がこわばっていたのである。もう一度ラブラブになれるかもしれないのは、はとりにとって、もしかしたら良いことなのかもしれないけれど、あーやはそれを望んでいないことがよく伝わる素敵な改変だった。ほんと、あーやははとりが大切なのだろう。そんなはとりが愛した女性だから、佳奈のことも悪くは言いたくないのだろう。

 色々とハプニングに見舞われた今回の旅であったが、透、由希、夾の三人。そしてマブダチトリオの三人それぞれの絆が深まった意味のある旅行になったようだ。来週は新しい十二支が現れる予感……!!
(文=三澤凛)

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