第1話レビュー

『Heaven?~ご苦楽レストラン~』ドタバタすぎるキャラと演出に違和感だらけ?期待の放送枠なだけに今後の挽回なるか!?

2019.07.10

 オーナーのオーナーによるオーナーのためのお店!? 問題だらけの至極のフレンチコメディー『Heaven?~ご苦楽レストラン~』第1話がオンエアされた。

 フレンチレストランで働いていた伊賀観(福士蒼汰)は、真面目な性格で営業スマイルができないため、仲間からも客からもまったく評価されていなかった。
 しかしそんな彼を高く評価する女性が現れる。その謎の女性は黒須仮名子(石原さとみ)。彼女は近々オープンするという自分のフレンチレストランに伊賀をスカウトする。
「スタッフに必要なのはオリジナリティー。あなたはいいサービスマンになるわ。きっと」
 その言葉に心を打たれ、彼女の店で働くことを決意する伊賀。
 だがそのレストランは駅からも繁華街からも住宅地からも遠く離れた墓地の中に佇む店で、しかも彼女が集めた従業員は、元・美容師見習いの無邪気なコミドラン・川合太一(志尊淳)、牛丼屋の店長を5年務めていた店長・堤計太郎(勝村政信)、人に言えない秘密を抱えている不運の天才シェフ・小澤幸應(段田安則)、資格取得が趣味の元・銀行員ソムリエ・山縣重臣(岸部一徳)と、小澤以外はフレンチ未経験の素人ばかり。
 仮名子はなぜそんな彼らを集めたのか? はたして店は無事にオープンできるのか?
かつてない、“至極のフレンチレストランコメディー”の幕が開く!

 火曜日22時のTBSは当たりドラマ。『逃げ恥』を筆頭に『カルテット』、『あななたのことはそれほど』、『わたし、定時で帰ります』」などのタイトルを聞けば納得のラインナップでありこの時間帯のドラマには否が応でも期待がかかる。そんな期待のドラマ枠で、石原さとみ主演ドラマとなれば勝ったも同然…と思いきや――。

 繁華街からも住宅街からも、極めつけは駅からも遠く周りはお墓という最悪の立地いオープンするレストランが舞台のこのドラマ。豪快で傍若無人で無鉄砲なオーナー、黒須仮名子が寄せ集めた頼りないメンバーで開いた「ロワン・ディシー」は一体どんなレストランに成長していくのか……。

 とにかく最初から最後まで問題しかないレストラン。このドタバタ感は、視聴者によって合う合わないがものすごく分かれそうに感じられた。佐々木倫子原作作品はあの独特のテンポがいいのだが、それを実写でやろうとすると間延びしたように感じられたり、ドラマに文字が浮かぶことに大きな違和感も出る。

 モノローグの生首演出は個人的には苦手であった。諦観の文字が浮かぶのはまだよくても、それを投げるシーンはCGが滑って見て取れたり……と演出部分に苦手意識が出てしまい、話に集中できなかった。慣れたら気にならなくなるのかもしれないが、れまで見続けるか諦めるかは、今後の展開の面白さにかかっているかと。

 しかしキャラクターはどれも個性が際立っていたので、今後キャラの掘り下げがされたら愛着が湧きそうだ。話の最初と最後に出てきた舘ひろし演じる謎の紳士は、福士蒼汰演じる伊賀の未来の姿とかなのだろうか。志尊淳のりゅうちぇるみたいなキャラクターも好き嫌い別れそうだ。石原さとみは豪快でゴージャスな感じの役回りだが、この系統の役は長澤まさみとかのほうが似合っている気が個人的にはする。すごく魅力的な役だしこの味付けもいいのだが、石原さとみの一番美味しい味付けは、この味ではないような気がしてしまった。

 とにかく1話目は仮名子にひたすら振り回されて、オープンもままならないドタバタ劇に終始した。開店までの裏側を見た限りではこんなレストラン行きたくない! という意見で終わるのだが、このドラマを見進めていくうちに「ロワン・デイジー」に行きたい! と思わせてくれるような展開を期待したい。
(文=三澤凛)

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