『フルーツバスケット』紅葉のいじらしさに胸が苦しくるなる…原作神エピソードをていねいに紡いだ14話

2019.07.07

 今回の『フルーツバスケット』は、コミックス4巻から2話分をていねいにつむいだ。紅葉推しには印象深い回ではないだろうか。そして、今回からOPとEDが新しくなった。大塚愛とINTERSECTION。どちらも耳馴染みの良い曲だったので、毎週聞けるのが楽しみだ。 

<第14話>ヒミツだよ
 透は5月1日に外出してもいいか紫呉に尋ねる。その日は母親の一周忌にあたるのでお墓参りに行きたいというのだ。話を聞いていた由希は一緒に行きたいと申し出るが、夾は黙り込む。草摩の人からは両親の話をあまり聞かないと思った透は、紅葉に両親のどちらがドイツ人かと尋ねる。紅葉は笑顔で「Mutti!」と答えるが……。

 透のバイト先にちょくちょく遊びにきていた紅葉。その理由は彼の父の会社だからだけではなかった。彼の父親をちょくちょく迎えにくる。それをのぞきにきていたのだ。実の母親なのになぜのぞき見をするのか。それは、紅葉の母は自分が紅葉の母であることを忘れているから……という悲しすぎる理由なのであった。

 原作でもページを開くたびに涙が出てくるエピソードだが、アニメだともっとダメだ……。大好きな自慢のママに普通の子供のように甘えられない、自分を拒んだ事実、他人の子のようにしか接することができない関係。しかし恨み言のひとつも言わず、むしろ母の辛さを理解し、受け止めてさらに見守る紅葉のいじらしさに胸が締め付けられる。

 このシーンで紅葉の一連の台詞、辛い過去に押しつぶされそうになっている人や、消してしまいたいともがいている全ての人に届いてほしい。最初から最後まで紅葉のエピソードは全部暖かくて優しい。フルバの良心だ。

 そして後半は今日子の命日でみんなでお墓参りの話。みんなで墓石を囲んでお弁当食べるってすごい素敵だ。普通じゃない行動かもしれないが、生前の人が喜ぶことをしてあげるのは良いことだ。

 色々と複雑な表情を見せるキョン。ちょっとこの辺りからおや? いじらしさにというシーンが描かれている。最後のシーンで寝ている透の超耳元で囁いた言葉の真意とは…??
 うおちゃんがいってた「気づいたら咲いてた」という表現がとても素敵だ。早く咲いてほしい。

 好きなエピソードがていねいに描かれるのは嬉しいと改めて感じた。これからも一話一話を大切に紡いでいってほしい。来週も楽しみだ。
(文=三澤凛)

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