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【インタビュー前編】

チケットの不正転売ヤー撲滅なるか? 公式「二次流通」サービスを運営するぴあに聞く

2019.07.31

■金儲けだけじゃない――「アーティストに空席を見せたくない」ファン心

竹田裕氏(以下、竹田) 現在当社ではチケットぴあのサービスである「クローク」の中で運用しているリセールサービスと、先ほどお話した業界団体公認の「チケトレ」という二つの「チケットをリセールする」サービスを展開しています。チケットぴあではすでに2014年7月から「定価リセールサービス」を開始しており、それが今は「クローク」サービスの中に移行しています。「チケトレ」は、先ほどの高額不正転売問題の対策のひとつとして2017年6月に始まった新しいサービスです。

『チケトレ』サービス概要図

――「クローク」と「チケトレ」の違いは何でしょうか。

東出 「チケットをまだ発券していない」のであれば「クローク」、「チケットを発券した(手元に紙のチケットがある)」場合は「チケトレ」になります。電子チケットは「チケトレ」では現在取り扱っていませんが、将来的には検討しています。

 また、「クローク」はぴあの会員の方に向けた、チケットぴあで購入したチケットをリセールするサービスになります。「チケトレ」は購入した経路に関係なく、イープラスやローソンチケットといった他社チケットエージェンシーや、またそれぞれのファンクラブから購入したチケットであっても、主催者が了承していればリセールできます。

 ぴあで買ったチケットで発券されていなかったら、「クローク」の方が取引が簡単ではあります。「チケトレ」は、現状では紙のチケットのみ対応しているため、取引相手に「配送する」工程が必要ですので。

――「チケトレ」はすべての興行が対象なのでしょうか?

竹田 「チケトレ」は音楽業界の団体を中心に発足したので、音楽業界の団体に加盟している各事務所さん、プロモーターさんのアーティストを取り扱う、ということで始めてはいます。

 また、当初は音楽系だけでしたが、今は東宝さんにも入っていただき、舞台など、他業界からも問い合わせは増えています。

――「チケトレ」「クローク」といった公式二次流通サービスのユーザーからの反響はいかがですか?

竹田 発足当時は高額転売サイトの取引も盛んで、今より問題意識も低かったこともあり、「あえて定価で取引する人なんていない」という声も多くありました。

 ただファンの方すべてが「高く売りたい」わけではないんです。以前から「コンサートにどうしても急用で行けず、しかし会場前列の真ん中の席がひとつ空いてしまうのはファンとして忍びないため対策してほしい」という声は根強くあり、チケットぴあの「定価リセールサービス」はそういった声に応えるためのサービスでもあったんです。今は高額転売に対する問題意識も広がりつつあり、利用者の方は増えていますね。

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