華山みおの物語探索 その60

『あいが、そいで、こい』青春という二度とも戻らない輝き…それを振り返った時、あなたは何を想いますか?

 青春のキラキラは、友情だけではない。主人公の亮を取り巻く恋愛模様。以外とリア充な亮は幼馴染に想われ、第一印象は最悪だった留学生ともなんだかんだと意識しあう仲になっていきます。

 この幼馴染の結衣花とリンのキャットファイトが怖いんです。一方的に結衣花が敵視して牙をむいているだけなんだけど、亮の両親からも「かわいくてよくできた子だ」とべた褒めされ、愛想を振りまきまくっていた最初の印象から、「私たちの間に入ってこないで!」と平手打ちを繰り出す姿と、辛らつな言葉をリンに投げかける姿が強烈でした。突然出てきた女に長年の想い人をとられるのは嫌だけどね、なんかね…! 大人になった彼女の進退にも驚かされましたが、高校生の恋ってそういうもんだよなぁ、と妙なリアル感を見せてもらいました。

 主人公とヒロインの恋は、恋という「形」になるには亮の態度が幼すぎてずっともどかしい気持ちにさせられます。素直になれないし、積極的にもなれないのです。リンがスッと懐に飛び込むような行動出るが、その度にどうしたらいいのか分からないような、亮の表情がかわいらしかったです。やっぱり女性の方が精神的にちょっと大人なんでしょうね。高校生とかだと特に。

 リン役の小川あんさんの目力が強いので、あんな目でじっと見つめられたら普通の男子はドキッとしちゃいますよ。ただ、海に毎日いる役だったのにずーーーっとお肌が真っ白なのがふと気になりました(笑)

 見ている側からだとずっともどかしい気持ちにさせられる亮の幼さ。この映画は亮の思い出をのぞき見しているようなものだから、思い出している亮自身も、過去の自分を思い返すとこそばゆい部分もあるでしょう。誰にも謝ったりしなかった亮も、大人になれば取引先に頭を下げる毎日です。「おもんない」「アホか!」と悪態をつきまくっていた高校時代。自転車に乗ればどこにでも行けたはずなのに、自転車じゃ追いつけない場所があることを知り、頭を下げなければいけない現実や、いつも当たり前に一緒にいた友達がいなくなること、好きな人ができるということ。

 大人になると全部知っている色んなことの初めてを、たくさん迎える高校3年生のギュッとした夏の暑さを、いつかどこかで感じたことがあるあの気持ちを、大人になったから見えるあの時のことを、画面いっぱいに、物語の中いっぱいに感じるあの空気を、ぜひ映画館で観てもらいたいです。関東で唯一の上映館のK’sCinemaは、とても素敵なのでこの映画を観るのに最適です。

 余談ですが、方言男子って最高ですね。亮のぶっきらぼうなしゃべり方+方言最高でした。高橋雄祐さん、むすっとした表情とか物言いとか目とか、とてもよかったなぁ。あのやんちゃ感!! 

 思い返してあのシーンも、このシーンも話したい事ができる映画っていいですよね。誰かと感想を話したくなる映画体験。ぜひ、映画館に足を運んで観てください。
(文=華山みお)

カメラを止めるな!

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あの熱狂はいまいずこ

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