薔薇族だった時代 ~若いスポーツ選手のエロティシズムとナルシズム~ 第19回

2019.06.27

撮影:津田広樹

 プロフィールにあるように、私はアイドル歌手の撮影もしていたし スポーツシーンの撮影もしてきた。薔薇族の昭和後期の読者であり、カメラマンであり、編集者だったので、薔薇族の正しい「和」 のイメージに違和感なく「洋」のエッセンスを入れたかった。

 海外のゲイ写真集や映像ソフトが、日本の「和」を入れようとして失敗する逆パターンは、絶対にしてはならないと心に決めていた。ロケハンや撮影時の光の取り入れかた等の勉強を重ねた。そして本来ナルシストでないスポーツ選手で、計り知れないエロチックな表情と筋肉が融合した選手を見抜き、撮影中に完璧にナルシストに仕上げた。そのカラースチール作品がこれだ。

 股を掴む腕の隙間から巨根がチラ見えしているが、このコラム上ではトリミング自粛し掲載する。これが、津田広樹の自然光の世界観であり、他に類をみないエロチックである。

 諸事情から掲載時に目線を入れるしかないが、カメラに向けられた視線がエロすぎるこの男性は、撮影当時、現役大学生の水球選手だった。筋肉が綺麗で、肌も美しく体毛も少ないので、撮影場所の部室に入る日差しが肌に反射して、ファインダーの中に異空間を作り出していた。緊張していたが、次第に「俺の身体を見ろ」 的なエロモードになってくれたので、完成度の高い作品が撮影できた。

 モノクロ写真は撮影当時、現役大学陸上選手だった。イケメンすぎたのでアーティスト写真になりそうであったが、エロチックを引き出した。しかしこの写真は、過激すぎてこのコラムでは全容を掲載できない。連載を読んでくださっている方のイマジネーションで、このモデルが大胆な変態モデルになっていくのを想像していただきたい。
(文=津田広樹)

【津田広樹プロフィール】
 いわゆる80年代アイドル全盛の時代にスチール撮影のみならず、その多才さを認められてグッズ等の企画発案にまでもマルチな才能を発揮したキャリアをもちながら、あらたなる新天地として当時の有力ゲイ雑誌であった薔薇族の出版会社に編集部員として転身。その後もさらにその非凡なる才能の昇華は衰えを知らず、グラビアや企画ページ等にも幅ひろく手腕をふるい、多くの絶賛を得るまでにおよぶ。そして1996年にはゲイ業界初の試みであった3D写真集付き映像ビデオ、ジャック・リードを発売し世に送り出した。
 さらにオリジナル競パン付きDVDの発売など革新を起こし続けるも、無断配信に苛まれ、昨年に全ての映像ソフトのレーベルを手離す。しかし長年ににわたり不変的な価値観を持ち続ける津田広樹の世界観は色褪せることのなく、その真価を現在も世に問い続けている。

●津田広樹Twitter
https://twitter.com/hk8efj4xx3zxkim

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