『恋のツキ』不倫・浮気・結婚・お金…高校生に心揺れ動くアラサー女性がたどり着くラブストーリーとは?

2019.06.27

 とあるアンケートによると、全国20代〜60代の男女で付き合いたい年齢はバラつきが見られた。男性は20代女性と付き合いたいが圧倒的で、女性は30代男性が最も多かった。逆に男女ともに最も少ないのが10代であった。

 アンケートの対象が20代以上と成人だからかもしれないが、未成年となる10代は避けられる回答となったようだ。しかし、特に女性の場合、経済的にも未熟な10代男性は避ける傾向が見られ、男性よりもその比率はグッと低かったという。

 しかし、30代女性が10代男性と恋に落ちるマンガがある。新田章氏の『恋のツキ』(講談社)だ。2018年にTVドラマ化もされた人気作だ。

 以下、簡単なあらすじだ。


 平ワコは映画館でアルバイトする31歳。彼氏のフウ君と結婚を考えている。しかしそこで15歳の高校生・イコ君と出会う。ワコはイコ君に強く惹かれ、彼と浮気してしまうが、年齢差を気にしていまいち踏み込めない。イコ君はワコを好きになり、三角関係となっていく……。


 非正規雇用の30代女性が10代の高校生と付き合うというのは、一般的に考えてかなり勇気のいることだ。女性の場合、どうしても結婚や出産が男性よりも問題になりやすい。しかし、そんなことは当のワコも重々承知だ。イコ君にはそもそも経済力もないし、社会性も極めて未熟なのだ。

 それなのにイコ君に惹かれてしまうのには、理由がある。彼氏のフウ君とは4年付き合っていて、同棲も3年目となっている。それだけの年月を一緒にいれば、良くも悪くも初々しさはなく、恋人ではあるものの生活する上でのパートナー化してしまうものだ。彼の良いところよりも悪いところに目がつくようになる。直してほしい部分があるものの、言っても生活への慣れからか、ほとんど直ることがない。それを我慢する毎日となる。

 一方、イコ君はまだ高校生であり未成年であるから、まだまっさらな状態と言える。なんの穢れもなく、将来の夢を語ることが許され、教えたことは吸収していく。大人として、社会人としての錆が浮いてしまうフウ君と比較して、イノセントな存在なのだ。

 そんな存在に惹かれしまうワコの気持ちは理解できる。年齢を重ねれば重ねるほど、できれば避けたい面倒なことが増えていく。特にワコのような結婚を意識し、より将来設計が必要となってくると、ストレスも相当なものだろう。無邪気でいられるイコ君がまぶしく、そして愛おしく思えてしまうのも仕方ない。

 だがこの決断を単なる恋愛として考えるのであれば問題ないのかもしれないが、大人として考えると問題ないとは言い難い。そこで生まれる問題や葛藤が、『恋のツキ』のマンガとしての魅力であり、最大の面白さとなっている。

 最終となる7巻が発売され、物語は完結した。普通に考えたら30歳を超えた女性と高校生が付き合って、うまくいくとは思えない。彼氏と結婚したほうが安定し、それなりの幸せを得ることができるだろう。

 ワコは何を考え、どう行動していくのか。切ない大人のラブストーリーを堪能してほしい。
(文=Leoneko)

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング