全体的にストーリーもキャラクターもシンプルで分かりやすく、だからこそ要所要所にそれぞれを「好き」になるきっかけが作られていると感じました。
例えば、港。イケメン消防士で、なんでもできて余裕があるように感じられる生前の港。だけど、実はものすごく努力家で、料理も下手だったのを練習して上手くなって、物知りなのはたくさん勉強したからで、体力作りもしているから訓練もこなせていたりします。努力の跡を見たときに、めちゃくちゃに港が好きになりました。それまでは声の感じとイケメンで何でもできる面ばかりで鼻につく感があったのに……。
妹の洋子ちゃんもツンツンしすぎてたけど、その物言いの裏にある優しさや寂しさが垣間見えるようになってからは、その強がりもかわいく見えて仕方なくなってしまいました。でも最後の無茶な行動は、ひな子の言う通りにしていればあんな事件起きなかったよ、と思ってしまう。
自分たちの周りから人がひとりいなくなること。立ち止まってしまうきっかけになったり、歩き出すきっかけになったり、その関係性により様々な波紋を見せます。山葵が言ったように、亡くなった人は自分の大切な人が自分の死によって立ち止まってしまっている姿など、見たくはないでしょう。今回の港のように、また目の前に現れてくれるなど現実ではありえないのですが、いなくなった人が安心できるように、少し時間がたっても歩き出せる強さを持ちたいと感じました。
私には港のような存在がいるわけでもなく、前半で一瞬精神が死にましたが、映画を見終わった後なんだか顔を洗い立てのときのような、新鮮な気持ちになりました。新しい波、探してみようかななんて思ったり。
夏は何かを予感させるワクワクする季節。この季節にピッタリな爽やかで切ないラブストーリーです。ぜひ劇場に観に行ってみてください! 独り身の人はくれぐれも心の準備を忘れずに……。
(文=華山みお)
『きみと、波にのれたら』大切な人を失ったとき、あなたならどうしますか?さわやか青春ハートフルボッコラブストーリー!のページです。おたぽるは、人気連載、映画、アニメ、作品レビュー、その他、ラブストーリー、華山みお、物語探索、きみと、波にのれたらの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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