知るかバカうどんという作家を知っているだろうか。
もともとは同人で活躍していて、その後にエロマンガではあるものの、商業として初めて『ボコボコりんっ!』をリリースした。その内容があまりにも、猟奇的であり、凌辱的で、読者を激鬱に陥れたことで話題となった。おたぽるでも当時、早速コンタクトを取り、初のインタビューもさせてもらった(参照記事)。知るかバカうどん氏が女性だったのは驚きであった。
そんな知るかバカうどん氏が、非エロ扱いでまんが王国で連載しているのが『君に愛されて痛かった』(新潮社)だ。非エロ扱いとはいえ、彼女の実力が存分に発揮された激鬱マンガとなっている。
『君に愛されて痛かった』は主人公・かなえが想いをよせる寛や、周囲の友人に対しての愛を求める物語だ。しかし、このかなえがかなりヤバい。重度のメンヘラだ。
口癖は「ごめんなさい」。自分の行動が周囲の和を乱していないか、自分が周りにどう思われているのかが病的に気になりすぎて、すぐにその言葉を連続してしまう。読んでいる者はそんな彼女に激しく嫌悪し、時に心配し、時に目を背けることになる。
明確な描写はいまのところないのだが(現在、既刊3巻)、病的なまでの思い込みは精神疾患とかしか思えない。思い込みすぎて嘔吐してしまったり、人に必要とされたくてすぐ股を開いたり、とにかく見ていて痛々しくなるし、気の毒にもなるし、恐怖も覚える。
かなえの周囲も問題を抱えた者ばかりで、その場の雰囲気に合わせて発言をころころ変える、自分が中心じゃないと許せない、などどこか欠陥がある。全員が何かしらの影を帯びていて、過去にひどくいじめにあっていたり、ひどい挫折を味わっていたり、暴行されていたり、と現在にまで影響を与えてしまっているマイナスの“何か”を経験しているのだ。
学校でのスクールカーストや、友だちの輪は、女のほうがはるかに維持するのが難しく、生存競争が激しいときく。『君に愛されて痛かった』でかなえが生きる世界も、まさに弱肉強食の生存競争が強いられる。
かなえだけではない。強く見えている子であっても、実は精神薄弱で、トランプの表裏くらいに薄っぺらい存在であったりする。昨日の敵は今日の友。昨日の主人は今日の奴隷。スクールカーストの下位に落ちたら、人間扱いなんてされない。泣き叫ぼうが、助けを呼ぼうが、誰ひとり声をかけない。救いの手なんてあるわけがない。当事者は絶望に打ちひしがれるしかない。こんな残酷なことが日常的に繰り返されるのだ。
友情、いじめ、暴行、復讐、嫉妬、虚栄、嘘…これらを隣り合わせで生きるしかないかなえたちが恐怖でしかない。もしも自分がそこにいたら、少しももたないだろう。人間の闇を描かせたら、知るかバカうどん氏ほどの重く、鬱に描ける作家は思いつかない。
『君に愛されて痛かった』は非常に胸糞悪い作品だ。しかし、これは褒め言葉である。鬱マンガや鬱ゲー、鬱アニメが好きであれば、ぜひとも手に取って読んでみてほしい。ホラーマンガとは全く異なる恐怖を覚えることができるだろう。
(文=Leoneko)
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