ネットダフ屋の横行でチケット不正転売禁止法施行 かつてチケット転売は大学生のメジャーなバイトだった……

2019.06.14

文化庁ホームページより

 チケットの不正な転売を禁止するチケット不正転売禁止法が施行された。イベントのチケットの高額転売や買い占めを防ぐ、この法律。違反者には1年以下の懲役か100万円以下の罰金または両方を科すという罰則の厳しい法律だ。

 来年に開催される東京五輪でチケット転売の横行を防ぐことをひとつの目的としたこの法律は、業者や個人が定価を超える金額で転売するを禁止するだけでなく、主催者側にも本人確認の努力義務を課すというものだ。

 これまでも路上のダフ屋行為は、各都道府県の条例で禁止されていた。しかし、近年問題になっていたのは、ネット販売されるチケットをコンピューターの自動プログラムを利用して買い占めて転売する「ネットダフ屋」という新たなスタイルの出現だった。

「かつてのダフ屋行為は許されないとしても、許容の範囲内でした。なぜなら、多くのチケットを買い占めるには多額な人件費も必要だったからです」(新聞記者)

 20年くらい前までは、大学生の間で「すぐお金がもらえるアルバイト」として、ダフ屋の手伝いというものが当たり前にあったものだ。ダフ屋の元締めから買うチケットの指示を受け、チケット代を渡されて行列に並ぶ。無事に買えたチケットを元締めに渡すと5000円程度のバイト賃が手に入る。

 人気のコンサートの場合は前日夜から並ぶのでバイト賃が高め。プロ野球の場合は朝から並べばいいので、それよりは安め。いずれにしても人海戦術なので「友達も連れてきてよ」といわれるものだった。

 そんな牧歌的な風景と違い、ネットダフ屋は明らかに殺伐としたものだった。こうなっては、規制されるのも仕方はない。
(文=大居 候)

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