「1300年つづく日本の終活の旅」の字面がスゴい。日本遺産に認定された西国三十三所のインパクト

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「西国三十三所 巡礼の旅」公式サイトより

 文化庁が行っている「日本遺産」認定事業。令和元年度、新たに西国三十三所が日本遺産に認定された。

 西国三十三所は、京都・大阪・奈良・和歌山・滋賀・岐阜に点在する33の霊場を巡礼するもの。日本での巡礼といえば、四国八十八ヶ所が知られるが、こちらは平安時代には成立していたとされる。その御利益は、三十三ヶ所に巡礼すると観音菩薩によって、現世で犯した罪業が消滅し、極楽往生できるというものである。

 ゆえに今回の日本遺産認定では「1300年つづく日本の終活の旅」として認定されたのである。この巡礼ルート、全体の距離では四国八十八ヶ所より短いのだが、それぞれのお寺の距離がえらく離れていたりする。今では公共交通機関やツアーを利用する人が一般的だが、もしもすべてを歩いて巡礼したら、終活以前に寿命がつきそうである。

 いや、むしろそちらのほうが幸せかもしれない。というのも、順番通りに回ると一番最初は那智の青岸渡寺。明治時代に分離されて、今は別個の寺になっているが熊野那智大社のある那智山のお寺である。

 近年、熊野本宮大社から熊野速玉大社を経て、熊野那智大社へと至る熊野三山をめぐる熊野詣も盛んだ。終活と観光を兼ねた場合は、こちらもめぐるだろう。しかし、交通網が発達した現代であっても巡るだけで修業をしている気分になる。熊野三山というから、それぞれが近くにあるのかと思いきや、そうではない。きちんとお参りしたら一日では終わらない。

 さらに、ついでにお参りしたい神社もたくさん。階段がほとんど崖の新宮の神倉神社。そして、那智山にお参りして一段落したと思いきや、その奥に歩くかタクシーでも呼ばないといけない妙法山阿弥陀寺という寺が。熊野詣自体は四十九日の予行演習だそうなんだが、いざ死んだら熊野を巡ったあとに阿弥陀寺から成仏する流れだそう。

 そう「三十三ヶ所をめぐるのはつらいなあ」と思うのは早計。そのうち熊野を詣でるだけでも十分に終活はできるのだ。筆者も死ぬ時は熊野詣での途中で……といつも思っている。

(文=昼間たかし)

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