『町田くんの世界』キャスティングがミスマッチすぎて人気タレントのコスプレ大会に…でも細田佳央太の演技はすばらしい！

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　彼ら彼女らと同年代の池松壮亮さんが、年相応の役を演じているだけに違和感がすごい！ こう、無名の方とかならいざ知らず、全員が人気者ばかりだからこそ、この配役に無理があることをひしひしと感じてしまうのが辛かった。

　人気俳優をキャスティングしていることを大々的にうたった分、高校生の出演が大多数を占める脚本なのが、仇になった形なのでしょうか。パンフレットを読むと、それぞれが監督からの直接オファーということと、他の共演者が出るなら出ようかな「記念に出ようかなって感じです」と言っていたのが、ちょっと残念です。作品に出たからにはもちろん真摯に作品に向き合ってくれているとは思うのですが、この発言はなんかね、悲しい気持ちになります。

　一方、この作品で初めて演技をした町田くん役の細田佳央太さんのお芝居はとても良かったです。イケメンすぎず、だからといって不細工でもない「町田くん」を嫌味なく演じられています。

　町田くんは足がめっちゃ遅いのですが、あの走り方がツボで、町田くんが走る度に笑いがこみあげてきました。たくさん走るシーンが差し込まれていたから大変だったろうなぁ。

　そしてヒロイン猪原さんを演じた関水渚さん。目元が北川景子さんに似ていて涼やかなのに、中の熱が伝わってくる女優です。自分の中の不可解な気持ちに戸惑っている姿が多動に現れていて、気持ちが伝わるお芝居でした。

　町田くんの世界がどんどん広がっていき、後半に進むにつれどんどんぶっ飛ぶ方向に向かっていきます。その虚構と現実の入り混じる世界観が町田くんの世界なんですが、そこは好き嫌いが別れるかもしれません。

　全てが虚構の世界だと思うと、町田くんのような人を信じたいと思う吉高の気持ちを踏みにじるような気もするし、リアリティを求めるとキャスティングから物申さないといけないし……。

　かくして期待値半々で観に行った『町田くんの世界』ですが、キャスティングに頼らず、それぞれのキャラクターを飾りなしに素朴に描いたら、どんな形になったんでしょう。それを想わずにいられません。主演を演じたふたりの今後に、期待が高まりますね。
（文=華山みお）

 
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