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世界で愛される日本のオタ文化vol.3

イタリアンフォークメタルバンド・ELVENKINGが語る日本のアニメ!「コンセプトを超えるほどのストーリー性やセリフは、ヨーロッパのアニメにない」

2019.06.13

写真:奥村裕司

──『RE-ANIMATED』でカヴァーされた他のアニメの中にも、好きな曲はありますか?

アイダン:全曲だよ!(笑) 『森の妖精ノーム』(原題『DAVID EL GNOMO』) はスペインのアニメだけど、俺達は日本のアニメを山ほど観て育ったからね。母親から「アニメばかり観てないで、宿題しなさい!」ってよく怒られたものさ。 俺は『マジンガーZ』とか、ロボット・アニメが好きだった。どのアニメだったか、最終回でロボットが破壊されてしまって、子供の頃、それが悲しくて大泣きしたのを憶えているよ(笑)

 ヨーロッパのアニメに比べると、日本のアニメは色々と“深い”よね。子供にとっては意味が深過ぎるぐらいだ。だから、親はいつも心配していたな。「このストーリーは、あんた達には難し過ぎる」って。悲しいストーリも多く、ロマンスなんかも凄くリアルで、心を動かされるモノが多かった。ヨーロッパのアニメはもっとソフトだから…。

ダムナ:深いといえば『北斗の拳』だな! 俺はロボットものはあまりよく知らないんだけど、日本アニメのストーリーにはインパクトがあって、いつも感激していた。

アイダン:そこがヨーロッパと日本の大きな違いだよな。イタリアでは、アニメ はあくまで子供向けという認識なんだ。でも、日本アニメの影響で、今ではみんなの考え方も変わってきている。最近は大人もアニメを楽しんでいるようだし、大人になってから、子供の頃に観ていたアニメのフィギュアを集める人も増えた。

──子供の頃、観ていたアニメを「これは日本のアニメだ」と意識して観ていましたか?

ダムナ:ヨーロッパのアニメとは「違うな」っていうのは気付いていたよ。それに、(オープニング曲などで)クレジットが日本語のまま流れていたから、「この変わった文字は何だろう?」って思ったりもしていたな。「東京がどうした …」なんてセリフもあったし、実際に東京の街が舞台だったりもして、それで何となくだけど、“日本の…”というのは意識していたな。

──日本製アニメを海外で放映する際、暴力シーンやお色気シーンなどがカットされることが少なくないようですが?

アイダン:そうみたいだね。イタリアでも大きな議論が起こったよ 。「これを子供に見せても良いのか?」って。ショッキングな場面とかセクシーなシーンとか──そうだな、ラムちゃんは凄かったな!(笑)

──ああ~、『うる星やつら』ですね?

ダムナ:アレはヤバかった。みんなラムちゃんのオッパイに釘付けだったよ。

アイダン:うん。ラムの存在は大きかったな。彼女が“性の目覚め”のキッカケになったという人も多いんじゃない?(笑)

──イタリアの子供達の多くが、アニメを通して日本という国を知るということは?

ダムナ:それもあると思う。あと、マンガやコスプレを通じても…ね。

──ちなみに、おふたりが好きな日本のアニメは?

アイダン:ディープなストーリーの作品が好きだな。中でも映画『AKIRA』はショッキングだった。キャラクターに感情移入しちゃったよ。コンセプトを超えるほどのストーリー性やセリフは、ヨーロッパのアニメにはないと思う 。

ダムナ:俺は『北斗の拳』と…『怪物くん』が好きだ。今回、フランケンのフィギュアを手に入れたんだ!(笑)

──ELVENKINGはステージ衣装やメイクも個性的ですが、 もしかして日本アニメからの影響もありますか?

ダムナ:断言は出来ないけど、影響を受けたモノの一部として含まれている可能性も否定しないよ。あと、楽曲のコンセプトやメッセージの延長線上にも、アニメの影響があるかもしれない。

アイダン:日本のアニメは、日常から掛け離れたストーリの中で、希望を与えてくれる。「もっと巨大なロボットがいるかも?」「新たなヒーローが出現するかも?」…と、そういった感覚が、ELVENKINGのサウンドや、異世界を創造し、違った考えを持つという点で、色々と影響していると思う。

ダムナ:ああ。衣装やメイクは、俺達の存在を表現するためのツールだからな。

──『SECRETS OF THE MAGICK GRIMOIRE』(’17)に続くニュー・アルバムも楽しみにしています!

アイダン:制作は順調に進んでいるよ。今年の秋までにはリリース出来ると思う。

ダムナ:その時は是非また、日本でライヴがやりたいね!!
(文/構成=奥村裕司)

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