2014年12月に当時、名古屋大学の女子学生が起こした殺人事件を知っているだろうか。名古屋大学女子学生殺人事件と呼ばれるこの事件は、未成年だった女子学生が逮捕後に「人を殺してみたかった」と供述し、世間を震撼させた。
1997年の神戸連続児童殺傷事件などもそうだが、人を興味本位で殺してしまう悲しい事件が平成では頻出した。令和の世ではそういった悲しい事件が起きないことを願いたい。
さて、フィクションの世界になると話は別となってくる。『あなたの鼓動を見させて。』(小学館)はかなり挑発的な内容で、ホラーファンであれば非常に惹きつけられる作品だ。
簡単にあらすじを紹介しよう。
主人公・佐和こころはおっとりマイペースの薬学生。彼女は異性に非常にモテるが、何にも興味が持てずに全て断っていた。ある日の講義の際、カエルを解剖して生きたまま心臓を取り出す実習を行った。そのとき彼女は生きた心臓の鼓動に強く強く惹かれてしまった。このタイミングで同学年の夏川に告白される。彼女は彼の心臓を見てみたい衝動を我慢することができなかった――。
まさに主人公・佐和こころは、自分の興味のためなら生物を殺しても構わないという考えの持ち主だ。そもそも彼女は考えることなく、衝動的に動く猛禽類のようである。そのため、動きに迷いがない。心臓を見るという欲望のためならば、研究室に忍び込むなどの犯罪行為も平気にこなしてしまう。
その最たるものが、カラスをはじめとした小動物を使っての実験だ。彼女は心臓の魅力に憑りつかれてから、夏川ないし人間の心臓を見るために練習と称して、小動物で実験を繰り返している。さらに解体した心臓や肉片、目玉などを冷蔵庫に保管しているのだ。彼女のかわいらしく、フワフワしておっとりした外見からは一切想像できない。
ここまでなら『あなたの鼓動を見させて。』はシンプルな猟奇ホラーマンガなのだが、さらに物語を彩るために、大学を侵食している違法薬物売買組織が絡んでくる。本作は、心臓に異常に執着するサイコパス女と違法薬物売買組織、そしてその組織を暴こうとする有志の学生との三つ巴の物語となっているのだ。そこには頭脳戦や心理戦が加わり、サイコミステリー要素も色濃い。
ホラーのなかでも人間に関するものが好みの方には絶対に楽しんでもらえる作品だ。これも近いうちに映画化、もしくはアニメ化されないだろうか。内容的に厳しいかな……。
(文=Leoneko)
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