職場で女性にのみパンプス着用を強制することを企業に禁止するように求める声が上がっているという。これに対し、5日の衆議院厚生労働委員会で根本匠厚生労働大臣が、状況によってはパワハラになるとの見解を披露。高階恵美子副大臣も「強制されるものではない」と発言したことで、問題が注目されている。
なぜ注目されているかといえば、この問題の発端にある。根本大臣が、この見解を示した理由のひとつが、3日に厚生労働省に提出された署名である。
この署名は「ハイヒールやパンプスを履くことを、職場などで強制される現状を変えたい」としてインターネット上で呼びかけられたもの。これに賛同する署名が1万9,000通近く寄せられたという。
これを呼びかけたのは、グラビアアイドルとして活動歴のある石川優実なる女性。この署名を立ち上げた理由は、昨年葬儀場でアルバイトを始めたところ、会社規定では「ヒールの高さが5センチから7センチ、ストラップ無しの黒いパンプスを履く」となっており、立ち仕事が続いたために足に痛みや出血を感じたのだという。
これをきっかけにして、SNSで「♯MeToo」にかけて「♯KuToo」というハッシュタグをつけて発信したところ、賛同の声が集まったことが署名活動の始まりだという。
靴擦れや外反母趾といった理由から、ハイヒールやパンプスを強制されることに苦痛を感じる女性がいるのはよくわかる。でも、葬儀場の仕事で疑問を感じたというのは、どこか違和感を覚えるのも事実。
故人との最後のお別れの場である葬儀というものは、蓋然性のある不文律があるもの。その場にふさわしい姿でないと、「常識がない」と見なされてしまう。また男性であっても、革靴ならなんでもOKでというわけではない。
今回こうして問題になったことで、「ぺたんこな靴でもいいではないか」という声は少なくないが、ヒールのない靴は「カジュアルな印象を与える」として、基本はNGとされている。「ヒールがなくても気にならない」という見方もあるが、これまで根付いてきた常識はそう簡単に変えられるものではないだろう。
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靴を履いていて苦痛を感じる場合、その靴が足に合っていないことが大きい。これは男性でも同様だ。パンプスでも自分の足にぴったり合った靴を買うことができれば、多少なりともその悩みは解消されるだろう。
靴選びについてはファッションアイテムの中でも「最も難しい」と言われるにもかかわらず、それ関する知識はそこまで広く浸透はしていない。「♯KuToo」運動だけでなく、靴選びの重要さもこの機会に広まるといいのだが……。
(文=大居候)
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