平成・昭和のレジェンドアイドルを振り返る!

松田聖子 Legend ~常に気づかいを忘れない聖子ちゃん~ 第3回

2019.06.04

写真提供:瑠衣羽香

 80年代に聖子ちゃんだけでなく、大概のアイドル撮影で使われていた赤坂スタジオというスタジオがありました。ラブホを改装したスタジオで、白い出窓の前で撮影するとそこだと解ってしまうほど有名でした。TBSテレビから近かったこともあり、ザ・ベストテン終了後に深夜まで撮影できたり何かと便利で、よく赤坂スタジオで撮影になりました。当時、私はスタイリストとして衣装や靴や小物までぎっしり詰まったバックを肩にかけて、手にも荷物を持って通ったものです。

 聖子ちゃんは、どんなに忙しくてもスタッフに気づかいを忘れない女性だ。なので、スタイリングもやり甲斐がありました。聖子ちゃんがとても穏やかな方だったためか、怖いことで有名なカメラマンさんも彼女の撮影では常に穏やかでした。

 一度、スタジオマンが間違えて撮影した6×6フィルムを空けてしまい、大失態をしてしまったことがありました。そのとき、そのカメラマンも穏和に彼に注意していました。

 私もスタジオの人に「柏原芳恵さんの事務所へ請求書を出せばよいのですね」と言われたことがありました。そのとき、少し離れた場所にいた聖子ちゃんは笑っていました。 私はそっと「間違えてるわよ、松田聖子さんよ」と伝えました。スタジオマンがいなくなってから、聖子ちゃんとケラケラ笑いこけたのは良い思い出です。

 ある日、深夜に撮影終了したとき、出窓から何気なく下を見ると、表に何台ものバイクとライダーたちが止まっていることに気が付きました。私が「暴走族?何でここが解ったの?」と不安げに言うと聖子ちゃんが、笑顔で「大丈夫です!ファンの人なんです」と答えました。なんと、親衛隊の男性たちだったのです。

 私は聖子ちゃんがスタジオから出た後、そのまま上から見ていました。聖子ちゃんが車に乗る前に親衛隊の男性たちに、「遅くまでありがとう~気をつけて帰ってね」と手を振っていました。それを見て、優しい気持ちになれました。
(文=瑠衣羽香)

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