『親愛なる僕へ殺意をこめて』激しい頭脳戦とドンデン返しの連続で呼吸もできない!二重人格をテーマとした猟奇サスペンススリラー!

 解離性同一性障害(二重人格)――これまで数多くのフィクションの題材されてきた病気だ。

 古くはロバート・ルイス・スティーヴンソンの『ジキル博士とハイド氏』、現代ではダニエル・キイス の『24人のビリー・ミリガン―ある多重人格者』などで扱われているのが有名だ。人格が入れ替わるなどのミステリアス性から、フィクションではヒット作が多い。そういった意味では、世間からの注目は高い病気と言えよう。

 現在では病気の解明も進み、ミステリアス性は薄まったこともあり、フィクションで使われることはかつてほどではなくなったように思える。しかし、この難しい題材を果敢にしようしたマンガが現れた。井龍一氏と伊藤翔太氏の『親愛なる僕へ殺意をこめて』(講談社)だ。

 まずは公式の紹介文から引用しよう。


 「人生は楽しんだもん勝ち」がモットーの大学生・浦島エイジ。だが彼は、人には言えない’過酷な運命’を背負っていた。その現実と向き合った時、彼は惨劇に巻き込まれていく―――。


 紹介文があまりに簡素なので、もう少し補足しよう。

 主人公・浦島エイジはある日、憧れの同級生・京花と自室のベッドで目が覚める。なんと、エイジと京花は付き合うことになっていた。しかし、一切の記憶がエイジにない。なぜ彼女と付き合うことになったのか、どうして彼女が自分の家にいるのかも分からない。なんだか訳のわからないまま大学に行くと、柄の悪い男に挨拶されたり、自分にケンカした跡が残っていたりと、ますますエイジは混乱していく。そこでふと、いつの間にか3日間の記憶を失っていることに気が付く……。

 要は記憶を失っている間に人格が入れ替わっているわけだが、ここは物語の核心でもなんでもない。『親愛なる僕へ殺意をこめて』をカテゴライズすると、ミステリーやサスペンスに分類されるが、この物語の核心は二重人格の先にある。

 浦島エイジには世間には絶対に知られてはいけない秘密があった(とはいうもの本人から案外ぽろっとばらすが)。なんと彼は日本を震撼させたシリアルキラー・LLの息子だったのだ。LLも母も、もうこの世にはいない。エイジは名前を変えて養子先の家庭で静かに暮らしていた。

 しかし、記憶の喪失と同時に不穏な事件が起きる。LLと同一手口の惨殺死体が見つかった。世間は死んだはずのLLが復活したのか、それとも模倣犯かと騒ぎ出す。ここから物語が急速に動き出す。警察や黒い組織との頭脳戦や命をかけた攻防や、周囲の人間の裏切りとドンデン返しの連続と、息を突く間もなく畳みかけてくる。

 現在4巻までがリリースされているが、一度読み始めたらその手はきっと止まらなくなるだろう。ただ、グロテスクな描写があるので、少々人を選ぶ作品ではある。しかし、面白さは本物だ。
(文=Leoneko)

絞殺魔

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B級臭がするが・・

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