華山みおの物語探索 その48

『さよならミニスカート』”女だから”、”男だから”…性で傷を負った人に読んでもらいたい。これは全ての人が陥る可能性のある問題

 自分が傷を負った分、似たような傷を負う人たちに対して見て見ぬふりが出来ない仁那。同年代の女の子たちの中には笑ってはいるものの、見えない傷を負って泣き寝入りしていたり、誤魔化して気づかないふりをしていたりする子がたくさんいます。仁那の言葉のおかげで泣き寝入りせずに済んだ子もいれば、未玖のように見えない傷を深めていく子もいます。

 特に、この未玖という子から目が離せません。自分がかわいいということをちゃんと理解しています。しかし、それをおくびにも出しません。素直でかわいらしい子を装っているのです。頭のいい子です。空気を読みすぎるくらいに読んで、おどけて、傷を負う言葉も行動もまるで痛くない、重たくないことのように受け流すんです。

 こういう子を一番助けてあげたい。そのためのマンガだと思います。仕方のないことだと慣れてしまわないでほしい。要領よくならないでほしい。怖かったと、周りに助けを求めてほしい。人からのイメージに縛られないでほしい。女であることを呪わずにいてほしい。

 腹黒く見えるようなシーンも多々あるのですが、未玖の心からの笑顔が見れるといいなってずっと思っています。女でよかったって、幸せそうに笑ってほしい。誰にも利用されたり搾取されたりしないでほしい。未玖ちゃんにも仁那にも。

 そして、もろもろの仁那の事情も全部受け止めて一緒に戦ってくれる光。彼は”女だから”と対の”男だから”に苦しむ少年です。自分が男だから、と拒まれた経験を持つ彼は仁那の力になりたくとも傷を思い起こさせてしまう。そのつもりはなくても自分ではその性別をどうにもできません。諸々の問題が”女だから”でも”男だから”ではなく、全部加害者のせいなのに。

 悪意を持ってもしくは何も考えずに欲求を満たそうと動いた人間が全て悪い。それなのに同じ性別なだけで新たに狙われる被害者になったり、加害者と同じような印象で見らえる影響が出てしまいます。男の人が悪いのではないけれど、ちゃんと知って欲しいのです。その体格差が恐怖になること。その軽率な欲求が自分の未来をも壊す可能性があること。

 この漫画に出てくる事件に似たことが数年前に現実にも起きています。アイドルの世界の中には信じられないような事件がいまも続いています。会いに行ける距離感や、それを商売にしている部分にも問題はあるのかもしれませんが、被害者は現実に生きる女の子たちなのです。傷つけていい存在ではありません。

 この世にこれらの問題が報じられるとき、画面の向こうでは遠い世界の出来事のように見えるかもしれないけれど、同級生だったり、家族だったり、自分の大切な人が突然被害者になることはありえます。

 そういう人が身近にいたときに、身近にいなかったとしても力になりたいと、心を砕いてくれる人、わからないなりに知ろうと思ってくれる人が増えてほしいです。そして、ひとりで抱えて何も無かったことにしようとする未玖のような人に、『さよならミニスカート』を読んでほしいです。

 小さな頃から『りぼん』にはたくさんの事を教えてもらいました。勉強以外の楽しいこと、恋もおしゃれも、外の世界も。そんな『りぼん』が、いま誰にも相談できないかもしれないことに、性別によって傷を負ったときに寄り添ってくれる、力をくれる、味方でいてくれる存在になってくれる作品を連載してくれているのです。

 仁那を襲った犯人は誰なのか。仁那の初めての恋はどうなるのか。そして、この物語は今後どのように女の子たちの味方でいてくれるのか。これからも目が離せません。
(文=華山みお)

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