華山みおの物語探索 その48

『さよならミニスカート』”女だから”、”男だから”…性で傷を負った人に読んでもらいたい。これは全ての人が陥る可能性のある問題

 初めて買った雑誌は『りぼん』。小さな頃からりぼんっ子。りぼんの漫画から色々なことを教わりました。今回は、現在『りぼん』で話題沸騰中の牧野あおい先生の漫画『さよならミニスカート』(集英社)をレビューします。


 学校で唯一、スカートを履かずスラックスで通学する仁那が抱える、誰にも言えない秘密とは!?
 かつてない衝撃のドラマが幕を開ける!
 ——このまんがに無関心な女子はいても、無関係な女子はいない。


 ニュース・SNSで取り上げられる、痴漢に安全ピン・ハンコ問題、街中・駅ナカで故意にぶつかってくる問題、妊婦さん・ママさんにひどい言葉をかける問題、ずっとずっとなくならない痴漢・暴行などなど、挙げればキリがないほどに日々起こる”女だから”起こる問題。

 痴漢にあったことりますか? 痴漢にあったということを、男性に相談したことがありますか? 相談されたことは?

 私は昔からか細く、おとなしそうで、反撃してこないように見えるらしく、痴漢に逢うことがとても多かったです。電車の中でふわっと触られることもあったし、すれ違い様に胸を触られたことや、狭い道で突然車の中に連れ込まれそうになったこともあります。

 特に怖かったのが、夜道を歩いていたら後ろから突然襲い掛かられたことです。後ろに人がいるなと思って警戒していたのですが、ちらっと後ろを振り向いた瞬間にその男が突然走ってきて抱きついてきたのです。幸い私は大声が出ました。滅茶苦茶に大声を出したらその男は逃げていきました。大声を聞いた付近の方が出てきて声をかけてくれました。

 体が震えてしばらく立ち上がることができませんでした。とにかく怖くて、当時付き合っていた彼氏にすぐに電話をして状況を伝えたところ、「とりあえず楽しいことを考えて元気出しなよ」と言われて愕然としたことを覚えています。もちろん彼は心配をしてくれて、泣いている私を励まそうとしてくれたんだけど。それでも、「ああ、男性には分からないんだな」と感じました。

 私はそれからずっと、真後ろに人に立たれるのが怖くなりました。男性に、たとえ彼氏であろうと仲の良い友達なんだろうと、冗談のつもりで力任せにつかまれたりするのが怖いんです。体格差や力の差を見せつけられることが怖くて仕方ありません。

 未遂だった私ですら、こんなにもずっと恐怖心が拭う事が出来ないのです。実際に痛みを伴う傷を負ったら、その恐怖は、その痛みはどう抱えていけばいいのでしょう。

 この物語の主人公、神山仁那は元は雨宮花恋という芸名で大人気アイドルの不動のセンターとして活動していました。握手会で突然ファンの男に右手を切りつけられるという事件により心身ともに傷を負って芸能界を引退。過去を隠し、まるで男の子のような恰好で高校生活を送っています。

 仁那が、様々な場面で事件をフラッシュバックしてしまう描写があります。出会いがしらにばったり男性と会うだけでも事件を思い起こさせるし、世間は自分を「消えた」「弱い
」など、何も知らないくせに好き勝手なことを言っているのが耳に飛び込んできます。事件によって、どれだけのものを仁那が失ったのか。まだ高校生の女の子が夢を絶たれ、怯えて暮らさなければならくなる理不尽さが伝わってきます。

りぼん

りぼん

バイブルってやつですか

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