『貞子』99%オリジナルストーリーが仇となったか?貞子が形骸化しすぎ!池田エライザしか見どころなし?

 いまやすっかり日本のホラーアイコンとなった貞子だが、そんな貞子が登場する日本最恐ホラー『リング』シリーズの最新作『貞子』が上映された。

 今作は鈴木光司の小説『タイド』を原作としている。小説版『タイド』は『リング』シリーズを総括したような作品だ。ガンダムでいうところの『機動戦士ガンダムUC』のような位置づけであるが、初期三部作『リング』『らせん』『ループ』と設定がかみ合わない箇所などもあり、『タイド』の前日譚にあたる『エス』とともに、新たな『リング』の世界を提示している。

 さて、今回の劇場版『貞子』であるが、『タイド』を原作としてはいるものの完全オリジナルストーリーだ。原作をなぞっている箇所は、山伏の修練場であったという洞窟が登場する程度だ。登場人物名すら少しもかすらない。

 そんな99%オリジナルホラーの『貞子』はどうだったのか。

 もはやテンプレとなってしまった貞子の井戸からの登場シーンや、現世に姿を現してからの気味の悪い動きなど、従来のファンや新規の観客を喜ばしたり驚かす描写はそれなりにあった。しかしテンプレ化した弊害か、目新しさを感じられない。彼女が恐怖の演出を駆り立てて登場し、人の命を奪うのはなぜか。呪いなのか、単なる生者への嫉妬なのか。貞子自体が形骸化してしまったように見える。

 そもそも、原作『タイド』自体も完全なるホラーというよりも、『らせん』『ループ』の流れを汲んだロジカルよりの作品であった。それだから『貞子』も恐怖度が薄まったと考えられなくもないが、正直シナリオが全体的に軽いと言わざるを得ない。貞子をホラーアイコンに仕立て上げすぎたために、彼女は単なる幽霊に成り下がってしまっているのだ。

 本来、貞子はすさまじい怨念をこの世に残し、自分の思念をビデオテープにダビングするほどの力を持っている存在だ。美しいように恵まれながらも両性具有という特異体質の上、最強の超能力者であり、恵まれない人生を送ってきたのだ。しかし、今作の貞子にはそんな背景を一切感じることができない。ただ人を脅かし、命を奪う殺人幽霊でしかない。

 また軽くなってしまった理由に、CGのチープさもあげられる。今作のキーとなるマンションのある一室が全焼するのだが、その焼け跡の外観がCG丸出しであり、少しも空気感が伝わらない。それに、キーマンとなる主人公の弟がYoutuberというのも、時流に沿った作りにしたかった意図は分かるが、作品を重くできなかった要因ではないだろうか。Youtuberが動画撮影のために焼け跡のマンションに潜入し呪われる。そんな安易な展開でいいのだろうか。

 懐古厨の戯言のようになってしまった。ここまであまりほめることがなかったが、貞子は貞子の仕事をきちんとこなしている。先述の通り、井戸からちゃんと出てくるし、気味の悪い動きで迫ってくるし、ちょいちょい画面の隅に姿を現し恐怖を煽ってくれる。そういった意味でのホラー映画としての基本は押さえているので、鑑賞しながら全身に力は入るし、鑑賞後にはぐったりとした疲労感は得られる。従来の『リング』ファンや原作のファンは物足りないかもしれない。批評サイトにもアプリにも厳しい評価が目立つが、新規のファンにはステレオタイプのホラー映画としては十分に成立するクオリティだ。

 『貞子3D』あたりからホラーアイコン化してしまった『リング』シリーズ。貞子らしさを取り戻すためにも、昨年のハリウッド版リメイク作『ザ・リング/リバース』のように、そろそろオリジナル『リング』をもう一度気合を入れてリメイクしてみても面白いかもしれない。
(文=Leoneko)

貞子

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