『あーとかうーしか言えない』(近藤笑真)あまり知られていないエロマンガ業界のエロにかける情熱は王道漫画に引けを取らない!?

 マンガが好きだから、マンガを描く人の話を読むのも好きです。そういうマンガをいくつか読んだことはありますが、「エロマンガ」を描いている人のことってそういえば知りません。

 今回はそんなエロマンガ業界がテーマの近藤笑真先生のマンガ『あーとかうーしか言えない』(小学館)をレビューします。

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 話すの苦手。言うこと聞かない。でも天才!

 マンガ雑誌で編集者をしているタナカカツミは、持ち込みにきた少女・戸田セーコの担当につく。

 あまり言葉を発さない戸田とのコミュニケーションに苦しむタナカだったが、戸田のマンガの才能に多くの人が惹き込まれていく!!!

 1人の天才がマンガ業界に殴り込む!!!

 ここがマンガの現場最前線!!!!

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 そもそもエロマンガを手にすることは、これまで少なかったです。オリジナル作品よりも二次創作が多くて、作者は男性の方が多くて、直接的な描写がメインでストーリーがないっぽい……という凝り固まりすぎたイメージを持っていました。あとインターネットで広告表示されているエッチなマンガはクリックすると、怖いことになりそうで読めなかった……。

 大衆のマンガよりもやはりクローズドな世界でもあるエロマンガ界。主人公のひとり・編集のタナカさんも配属されるまではストーリー性のあるマンガが好きで、エロマンガとは無縁の世界でした。だけど題材がエロというだけで「マンガ」であることには変わりません。

 読み切りがほとんどで、短いページ数の中でテンポよく、そしてもちろんエロをより多くせねばならないって制約が多いですよね。毎回新キャラを作って新しいストーリーを組み立てて絶対にエロに持ち込むって難しい気がします。

 そんな厳しい制約がつくエロマンガ界に新星が現れました。それが戸田セーコ。女性のエロマンガ家もそんなに珍しくはないかもしれませんが、この子はその中でも特異なタイプでした。

 セーコと出会ったことでタナカさんの世界が変わっていき、タナカさんと出会えたことでセーコの人生も大きく変わっていきます。

 というか、タナカさんってすごいいい編集さんです。頭もいいし、適格にアドバイスもくれます。編集1年目だけど作品に対して真摯に向き合ってくれるタナカさんが、セーコもマンガもまとめて面倒を見てくれる力強さ。

 自分が丹精込めて作った作品を読んだ瞬間に「良い!」ってぎゅって抱きしめてくれるのって、めっちゃ嬉しいだでしょうね。いつも否定せずに受け入れたうえで、さらにいいものになるように提案してくれるって中々できることじゃないでしょう。

 タナカさんが好きだったキャラクターへの愛情。私はこのふたりに対してそれを感じます。このふたりが組んで、それぞれが「最高のエロマンガを作っていく」という目標に向かっていく様が愛しいです。セーコが今まで体験してこなかったことや、感じたことがなかった気持ちを全部タナカさんがきっかけをくれている。あれ、これもしやエロマンガを題材にした百合……? そんなことはないかもしれないけど、男性同士がコンビを組んで熱い展開を見せてくれる王道少年マンガのような、このコンビなら何かしてくれるかもしれないという新しいタイプのワクワクが見られそうです。 

 ひとつ残念なのが、たくさんのマンガが出てくる割に、そのマンガ家それぞれの絵のパターンが少ないこと。マンガは最終的に中身の面白さだと個人的には思うのですが、マンガの中の天才を描写する際に、その部分で圧倒させられる説得力が少し乏しく感じてしまいました。

 個性的な絵のタッチといこともありマンガ内のマンガとか、エロマンガ描写のイラストが特にエロく感じられないとか、そういうちょっとしたところがもったいないかと感じます。

 セーコとタナカさんの成長の部分と、変化し続けるマンガ業界の裏側についての描写も気になる部分です。デジタルに進出すること、SNSを使った宣伝、アンケート、読者からの手紙……。マンガ家同士や編集者との心理戦、セーコのマンガは、エロマンガ業界、そしてマンガ業界全体にどのような影響を与えていくのでしょうか。今後も展開は膨らんでいきそうですね。
(文=華山みお)

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