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物語探索その39

映画『チア男子!!』葛藤、団結力、努力、青春! 作品の中にずっと居たい…2時間じゃ足りない青春ムービー!!

2019.05.12

 ショウはファッションセンスが壊滅的っていうの設定なんだけど映画版はそれが抑え気味だったのが超残念!! あの原宿とかでよく見るスマイリーの舌が立体的になってるブランド? が好きなのかそればっかりだったけど、お前の力はそんなもんじゃないはずだ……! アニメで着てた変なクリスマスツリーみたいなやつとか着て来いよ! ちなみに、この映画の中で一番ファッションが奇抜だったのはハルのお父さんでした。最後の文化祭の服に度肝を抜かれました。

 中尾暢樹演じるダブル主人公のひとり・カズ。あー良かった。カズは大学生が抱えるには重たい問題を抱えていて、でもそれゆえにチアを始めようと思った子。その前向きさと年相応の悩み方と、メンバーを引っ張っていくリーダーシップと、色々な魅力を見せてくれました。本当、彼がカズで、カズがチアを始めてくれて良かった。あのおばあちゃんへのリンゴがうさぎさんなのもめっちゃ良かった。色々なことを背負える強さがあるカズだから、今後カズが甘えられる人ができて幸せになれたらいいな。今も幸せなんだろうけど。カズは今後のことを勝手に想像してしまいます。彼がBREAKERSって名前を付けるときの画が「THE・青春」って感じがすごかった。あのシーンの圧倒的主人公感……。 

 そして、横浜流星演じるハル。共感力が高くて、優しいハルがぴったりでした。もう本当にとにかく優しい。人に寄り添うハル。落ち込んだメンバーへ声をかけるシーンが所々にあるんだけどその時の声のかけ方がすっごい優しいの。なのにさ、一回だけハルが自転車をこいでカズが後ろに乗るシーンがあったのですが、その時の彼氏感がすごかったです。横浜流星さんってなんであんなに少女漫画の彼氏役っぽいんだろ。相手がたとえ男だろうと彼氏は横浜流星。あとめっちゃまつげ長かったです。カールしてました……。彼の中の超えなければいけない「姉」との関係もていねいに描かれていましたね。

 全員、最初に出てきた時と一番最後のパフォーマンスでは顔が違っていました。準備期間三か月で、バク転ができるメンバーがひとりしかいない中で仕上げたそうです。作中でもそれぞれのメンバーができない技を練習して、出来るようになって喜ぶシーンがたくさんあってそのたびに涙がこみあげてきました。汗だくになってケンカして不可能を可能に変えていく力は心を震わされます。

 勝ち負けではなく、力いっぱい誰かを応援した人が主役になれるスポーツ。背が小さくても、体型に恵まれなくても、笑顔で力いっぱいパフォーマンスをすることができるのです。キラキラした笑顔の下に、それぞれの努力と乗り越えてきた時間があるんです。なんてすてきなスポーツで、なんてすてきな物語なのでしょう。私は彼らの最後のパフォーマンスの中に、彼らのそれぞれの物語を見て、大きなパワーをもらいました。

 朝井リョウ先生がパンフレットに書かれていたように「作品の中にずっと居たい」と思わされる気持ちを、原作、アニメに続き映画でも強く思わされました。映画はだいたい2時間。その中でそれぞれの見せ場を作りストーリーをまとめ上げるのは至難の業です。色々な削られたストーリーも、このメンバーで見たかっです。文化祭のその先まで見たかったです。どの媒体の作品もそうですが、映画は特に時間がかかるし、演者も歳を重ねてしまいます。だけど映画として残るこの作品を何度も繰り返して彼らの希望と努力の汗を折に触れてみかえして、力をもらいたいです。

 それくらい、とても素敵な作品だった。ぜひ、劇場で浴びてきてください。彼らの応援を。
(文=華山みお)

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