『女装神社』はエロゲーの新たなる希望 エロゲーは世界を相手にする時代に突入していた

2019.05.02

『女装神社』(の~すとらいく)公式サイトより

 もうエロゲーは世界を相手に商売するのが当たり前になっているのかもしれない。

「エロゲーが売れない」というのは、もはや時候の挨拶のようなもの。いつも誰もが、それを常識と思っている。そして言うのだ「それでも、なんとか細々とやっている」と。これまで多くのエロゲーで夢をもらってきたけど、もう夢なんてみられない。

 筆者はエロゲーというジャンルの縮小を、けっこう肌で感じてきた。というのも昨年まで長らくエロゲー雑誌の老舗「bugbug」(スコラマガジン)の仕事をしてきたからである。ライター駆け出しの頃に所属していた編集プロダクションが、サン出版の仕事をしていたことから編集部を紹介してもらい十数年。その原稿料は一時は、毎月の売上の多くを占めていた。ラフを切ってキャッチを書いて、紹介記事を書く。さらにレビューやなにやらで毎月の家賃を払って十分に食えるくらいの仕事量があった。

 それが昨年、いよいよ編集部が解体され編プロに外注することになり依頼が終わった時にはどうだろう。原稿料は毎月の煙草銭程度に減っていた。雑誌のページ数も目に見えて薄くなった。

 どんどん冬になっている。そして、そこから抜け出すことも叶わないのは手に取るようにわかった。

 でも、また希望はやってきている。先日、以前から何度も取材して懇意にしている西田一氏が新作を発表した。その名も『女装神社』。これまで『女装山脈』以来、女装に男の娘にだけ情熱を注いで作品を作り続けてきた男の新作。驚いたのは、その発表法法である。

 最初はsteamで。それも日本語版と同時に英語版と中国語版も発表するのだという。単に発表するだけではない。西田氏本人も中国に飛び作品をイベントで新作を告知したりと熱心である。英語圏のその手のサイトを見てみると、かなりの期待を持って迎えられているようだった。

 とりわけ英語圏のサイトを見ていて思ったのが、男の娘愛好者の多さである。てっきり、このジャンルは日本のオタクの間のコアな趣味かと思っていた。でも「FEMBOY」とかで愛好者を探すと世界のあちこちに男の娘好きが存在していることに驚く。

 これだけ見ても「もはやエロゲーは日本国内」だけを相手にしている商売ではないのだとよくわかる。

 そして、海外にはものすごいヤツらも登場している。先日からKickstarterで巨額の
資金調達に成功しているStudio F.O.W.がそれである。これまでハイクオリティな海外産エロアニメを制作するグループだと思っていが、彼らが今回資金調達しているのはエロRPG。SFなヒロインたちと冒険したりエッチなことができるゲームである。

 このクオリティでエロ。そんなものが当たり前につくられて世界から注目を集める時代が始まっている。

 そう、もうエロゲーを日本語版だけでつくっている場合じゃない。最低でも英語は同時発売が当たり前の時代。それは、もうはじまりそうだ。

(文=昼間 たかし) 

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