記憶とは何かと美化されるもので、昔好きだった人との思い出は事実以上に甘いものになっていたりするものだ。
さて今回はそんな昔好きだった人と突然再会することで、あれよあれよと人生に暗雲が立ち込めていくサスペンススリラー『隣の悪女』(集英社)を紹介しよう。作者は玉木ヴァネッサ千尋氏だ。
まずは公式の紹介文を引用する。
「あの子は大輪の薔薇だ その美しさで 人を魅了して誘き寄せ 血まみれにする」
大学生カップルの桐太と亜里子。半同棲する二人の隣に引っ越してきたのは高校時代に桐太が片思いしていた絶世の美女、花音だった。仲睦まじく暮らす二人。しかし、次第にその歯車は…?
「彼氏」「彼女」「悪女」の三つ巴狂騒曲!! 優雅で可憐。魅力的で蠱惑的。この世界は、何時の時代も悪女が回(こわ)す。何気ない平和な日常のすぐ隣に潜む非日常、隣人×サスペンスLOVEストーリー。
主人公とその恋人が半同棲している部屋の隣室に引っ越してきたのが高校時代に憧れていた花音。花音は高校時代から容姿端麗で性格も良い。大人になってからも変わりがなかった。
主人公と花音は隣人同士ということもあって少しずつお互いの距離を縮めていく。主人公は当然、花音に心を惹かれていってしまう。しかし、実はこれ全て仕組まれたもの。花音は狙いは最初からただひとつ。主人公に復讐をするためだ。
復讐のためなら花音は手段を選ばない。主人公は当然のこと、同性愛者のふりをして彼の恋人までも手なづけていく。次々に主人公の周りで不幸が起き始めても、誰も花音を疑わない。それだけ彼女の復讐は完璧なのだ。
しかし、実際そんなこと可能なのだろうか。話の筋としてはとても面白く、先の展開が気になりすぎて一気読み必至の作品なのだが、少々ご都合主義が過ぎる点も散見される。
例えば、バイク事故で重傷の主人の入院先が花音の働く病院であったり、明らかにおかしい状況が起きても花音を一切疑わない主人公や女性刑事だったり、。主人公の友人であるケロッピーが『ソウ』シリーズのようなデスゲームを強いられるシーンがあるが、あの設備はどうやってセットしたのだろうか。花音ひとりで組めるとは到底思えない。ジグゾウですら協力者がいたのだ。
細かい突っ込みは挙げればキリがないのだが、悪女として花音が主人公とその恋人を追い込んでいく様は圧巻だ。特にペットにしていた小鳥をから揚げにして食べさせるなんて、残酷極まりない。『危険な情事』を髣髴とさせた。
現在4巻までリリースされていて、次巻がラストとなる。しかしまだまだ未回収の謎だらけなので、次で全てが明らかにされるのであろう。悪女中の悪女・花音が最後にどうなるか、見届けようではないか。
(文=Leoneko)
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