『ゾンビバット』(松林頂)荒廃した世界でゾンビとなった母を殺せるか?ロメロ直系のシリアスゾンビホラー!

 例によってゾンビマンガの紹介だ。今回はJKとゾンビ、そしてバットという組み合わせの『ゾンビバット』(フレックスコミックス)だ。どこかZ級ホラー映画『女子高生ゾンビ』を髣髴させる設定だ。

 『女子高生ゾンビ』は正直かなりチープな作り、かつ演技もチープで本当に怖いもの見たさで鑑賞するしかない作品ではなった。しかし『ゾンビバット』にはそんなZ級臭がない。かなりシリアスな路線である。作者は松林頂氏だ。

 舞台はゾンビが徘徊する現代。例によってなんらかのウィルスが原因でゾンビパンデミックが発生してから4カ月後が経った世界である。明確には分からないが、自衛隊や警察は組織的には機能していないようだ。元自衛隊と思われる者たちによる自警団が町からゾンビを駆除し、安全圏を確保しようとしている。その駆除を率先して行っているのが、バットを持った主人公・ヒミコだ。そんな彼女がゾンビに襲われた立島ワンコを助けるところから物語は始まる。

 『ゾンビバット』には親子愛が暗喩的に示され、それが(既刊までの中では)テーマに思える。ヒミコはゾンビを駆除しながらも、時折パンデミック前を回想する。そこには母親の背中や母親に甘える自分の姿が映し出される。その記憶は懐かしくもあり、全てが変わってしまった世界ではトラウマのような存在にもなっている。ヒミコはコンビにいる親子のゾンビに自分の姿を重ね、一瞬駆除するタイミングが遅れたりするのだ。

 立島ワンコはゾンビとなってしまった母親をヒミコや自警団から守ろうとするし、ゾンビには生前の記憶が影響するために自分を襲わないと主張する。確かに母親はワンコを襲わない。それに対して、自分は母親に襲われたと主張するヒミコは苦々しくも冷酷な態度で彼女と接する。まるで、ヒミコは自分が受け取ることができなかった母親の愛情に対する嫉妬をワンコにぶつけているようだ。それがもの悲しくもあるし、狂気じみた世界では正義とも感じられる。

 粗いタッチの作画で少しもハッピーではない展開が続くのであるが、自警団の隊長が非常にユーモラスなキャラに描かれているのが唯一の癒しだ。シリアスの中に、クスッと笑えるネタを放り込んでくれる。

 ゾンビに生前の記憶が影響するというのはジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』から発生した概念であり、意識があるかもしれないというのも同監督の『死霊のえじき』から発生した概念である。そうした点でも『ゾンビバット』は、ありがちなホラーコメディなどでは決してなくロメロ直系のシリアス路線といえよう。往年のゾンビ映画好きはぜひとも読んでみてはいかがだろうか。
(文=Leoneko)

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