華山みおの物語探索 その32

『着たい服がある』(常喜寝太郎)好きなものを堂々と好きと言えたとき、世界は変わる!

 最近レビューさせて頂く漫画との出会いは、Twitterのタイムラインで見かけて気になったものが多くなってきた気がします。個人的に最近は自分から探して読むものは小説とかのほうが多く、漫画を自分から探しに行ってよむことが減ってきたような。

 そんな中で“大好き”っていう作品に出会えるのはなんて運命的なのでしょう。今回は出会えたことに感謝しかない最高に面白い漫画、常喜寝太郎先生の『着たい服がある』をレビューします。

 以下、あらすじです。

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 女子大生マミには、誰にも言えない「秘密」があった。それは、「ロリータファッション」に憧れていること。背が高く、一見クールなマミは、家族からも友達からも「かっこいい女性」像を自然と求められ、そのイメージから外れることに臆病になっていた。だが、周りの目を気にせず奇抜すぎるファッションをし続けるバイト先の同僚・小澤くんに感化され、徐々に「本当の自分」を開放していく――。
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 『好きなものが好き』当たり前なことなのに、それを口にすることが憚られ場合もある。自分は大好きだけど、世間一般からみたらちょっとマイノリティだったり、自分の持たれているイメージとはかけ離れていたりする場合には、その「大好き」がなかなか公にしづらかったりするのです。

 そう。人にはイメージがあります。自分の持ってる自分のイメージと、他人からの自分のイメージ。

 「かっこいい」「かわいい」「美人」「面白い」「物静か」「クール」「頭よさそう」本当の中身はわからなくても、だいたいは見た目でイメージというものは決定する。

 小さくてロり顔の人はパステルカラーとフリルが好きで、クールでキレイ系の人はシンプルでシュッとしている……みたいなイメージってどこで植え付けられたんでしょう。別にその人がそれを好きなんて一言も言っていないのに。私たちはどこで「イメージ」を固定させてしまうのでしょうか。 

 知らないうちに「私はこういうキャラだから」と選んでいるのかもしれません。そうやって出来上がっていった部分が、いつのまにか本当に大好きなものが似合わない自分にさせてしまう。この漫画の主人公のマミちゃんはまさにそんな女の子です。

  初めてロリータ服を買いに行ったときに、不安を口にするマミちゃんに店員さんがかけくてれた言葉がひとつもネガティブな要素がなくて、マミちゃんを全肯定してくれる素敵な言葉ばかりでした。このシーンがすごく好きです。同じものが好きで、それを販売している店員さんって一番の味方ですよね。嬉しかった気持ち、高揚した気持ちが全面に伝わってきます。

 そう、この物語はマミちゃんの感じた気持ちが絵からめちゃくちゃ伝わってくるところがすごく素敵なんです。

 ロリータを好きだという気持ちが伝えられなくてもどかしい顔、ロリータを着た時の満ちたりた顔、否定されて悲しい顔……。その表情はいつか自分もしたことがある顔。好きなものが受け入れられたら嬉しい。否定されたら悲しい。知っている気持ちだから共感してしまう、そんな顔だと思います。

 その彼女が、小澤という自分の好きを堂々と身にまとう姿に感化されて少しずつ自己主張をしていきます。

 好きなものを好き、と少しずつ言えるようになった彼女が、今まで出会えなかった景色や人と出会うようになっていくのです。勇気が出なくて言えなかった言葉を言って、起こるいざこざもあるでしょう。だけどそれもこれも全部「好き」を隠していたからなのです。

 ロリータが好き、と言えたことはたったひとりの小さな一歩の話だけど、この一歩はマミちゃんの世界を大きく変える一歩です。

 好きの持つ力は、世界を変えるんです。

 マミちゃんがロリータを好き、と言えるようになってどんな世界を歩いていくのか、これからも目が離せません。
(文=華山みお)

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