みんな大好き、宮崎駿監督作品『ルパン三世 カリオストロの城』が今年1月にフランスで初めて上映されたことは、あちこちで話題となった。この上映はフランスでも評価されているようで、フランス政府留学局がTwitterで「フランス留学中の方はぜひフランス語で様々な名シーンを見てみてください」と呼びかける動きも見られた。
この映画が公開されたのは1979年。すでに40年も経っているのに、日本のアニメを愛好する人が多いフランスで公開されていなかったのは、なぜか。
それは、著作権をめぐる問題だ。ルパン三世は日本人ならばほぼ知っている通り、アルセーヌ・ルパンの孫という設定である。
この永遠のヒーローがモンキー・パンチの手によって誕生したのは1967年のこと。「漫画アクション」の創刊号から連載が始められたのである。この連載に至る経緯は「漫画アクション」の創刊を描いている吉本浩二の漫画『ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生』で、語られているところ。この漫画は、まだ日本でも存在していなかった、青年漫画雑誌の創刊へと至る情熱を刻む、青春群像劇である。
現代であれば『ルパン三世』なんて思いついたら、まず権利者の許諾を取るものだが、当時は大らかな時代。電話一般で、版権料も払わずにグッズをつくったり、テレビドラマ化がなされていた時代。結果、『アルセーヌ・ルパン』シリーズの作者であるモーリス・ルブランの関係者から許諾を得ていなかった『ルパン三世』のフランス公開は困難になっていた。この公開も、2012年でルブランの著作権が消滅したことを受けてのものだ。
ようやく公開が実現したことも喜ばしいが同時に、情熱で描き上げられている漫画『ルパン三世』にも興味を持ってもらいたい。『ルパン三世 カリオストロの城』とはまったく違う、ハードボイルドさに舌を巻くはずだ。
(文=大居 候)
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