権力への警戒心を失った出版業界……静止画ダウンロードの違法化を出版業界が支持する理由

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 昨年来、海賊版サイトへの対策として提案された著作権を侵害する静止画ダウンロードの違法化への動きが注目を集めている。

 これは、昨年の海賊版サイト対策を議論した有識者会議「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」の中で提案されたもの。すでに文化庁では次期通常国会への著作権法改正案の提出を目指して検討に入っている。

 12年の著作権法改定で違法コンテンツと知りつつダウンロードした場合には、処罰することが反対論を抑えて成立している(2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金)。この時も、違法コンテンツかどうかの判別の問題などは先送りされたままだった。今回の静止画ダウンロード違法化は、それよりもさらに厳しい判断基準となる。

 日々ネットを利用していれば、誰がアップロードしたかわからない画像を、自分のパソコンやスマホに保存したことのない人は、ほとんどいないだろう。そうしたこともすべて違法とされてしまう。さらにいえば、パソコンやスマホを持っていれば誰もが違法にダウンロードをしている「容疑者」とされてしまうわけである。

 そうした「監視社会」を一歩進める危惧のある法律といえるのに、これまでこうした問題には積極的に異を唱えてきた出版業界の動きは鈍い。

 というのも、静止画ダウンロードの違法化には、出版業界でも賛成するものが多いからだ。賛成する人々が焦点にしているのは、海賊版サイト。それらを撲滅するためには、法によってもたらされる弊害は関係ないという意思表示のようにも見える。

「ここ数年で、出版業界の権力に対する警戒心は薄くなっていると言わざるを得ません。静止画ダウンロードが違法化されてしまえば、国民の誰もが法律違反の容疑者として警察の捜査対象になる可能性があります。そうした権力の拡大に対して、出版業界は常に警戒心が高かったはずなのですが、そのように考えを働かせている人は次第に減っているのです」(出版社幹部)

 かつては、出版社というのは学生運動経験者であるとか、何かしら権力に対して警戒心を持つ人々が多く在籍しているものだった。ところが、もうそうした人々は引退していく時代。よくも悪くも「権力のヤバさ」を知る世代がいなくなっている。それが、静止画ダウンロード違法化を支持してしまう背景にはある。
(文=ピーラー・ホラ)

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