ビニールが破けない! なぜ講談社のマンガ単行本は出荷する時にシュリンクされているのか?

2018.12.11

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 中身が読めないことで、売り上げは下がるのか、上がるのか?

 書店に並んでいるマンガ単行本は、ビニールでシュリンクされているのが一般的だ。このシュリンク、たいていは書店側が行っているもの。そのため「この巻は買ったっけ?」とか「表紙はよいけど、中身は?」というときには、店員に言えばシュリンクを破ってくれる。

 ただ、そんな中に例外がある。それは、出版社側がシュリンクして出荷している場合だ。これは、主に講談社がやっているもので、ビニールの上にバーコードやISBNが表示されたシールが貼ってある。発売日も書いてあるので、買い逃しや同じ本を買ってしまう危険がないかといえば、そうとも限らない。しかし、講談社のシュリンクは破いて中身を確認することができないのだ。まれに対応してくれる書店もあるようだけど、たいていの書店は「返品ができなくなるから」と、申し訳なさそうに断ってくる。

 講談社が出荷時にシュリンクを始めたのは、2013年のこと。すでに定着しているシステムではあるのだが、今や書店では不評である。

「そもそも講談社が出荷時にシュリンクするようになったのは“書店の手間を減らす”というのが、名目でした。でも実際には、カバーにバーコードがないために新古書店が管理しにくくなり、結果的に新刊が売れるのではないかという壮大な目論見もあったといわれます。さらに、売上スリップも廃止したり、表紙デザインからバーコードが減ったことで製作コストが削減できるという話もありました。いずれにしても、あくまで出版社側の自己都合で自己満足。書店では、お客さんが中身を確認することもできませんし、特典を挟み込むことも不可能。正直、不便なシステムです」(書店員)

 大手の書店であれば、中身の一部を小冊子にした見本が置かれている場合もある。しかし、どこの書店にもそうしたサービスがあるというわけではない。結果的に、販売機会を失っているのではないか。書店からは、そんな批判も聞こえてきているが……。

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