中国政府の『モンスターハンター:ワールド』禁止はどうなった? 理由は同業者からの告げ口だった

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『モンスターハンター:ワールド(Steam版)』公式サイトより

 8月上旬、全世界向けに配信が行われているPC版『モンスターハンター:ワールド』が中国で配信を禁止され、ゲーム業界に波紋を広げた。巨大な市場として注目される中国市場が抱えるリスクが明らかになった形だ。

『モンスターハンター:ワールド』は、中国ではテンセントが運営する「WeGame」で配信。世界各国と同じく、多くのユーザーがゲームを購入し利用していた。現地などの報道によれば、配信が停止された理由として、当局に多数の苦情が寄せられたことが挙げられている。これに対して、テンセントはユーザーに対して払い戻しなどの措置を余儀なくされた。

 これまでも中国では、マンガやアニメ、ゲームに対して日本の基準からは考えられない政府の規制が行われてきた。中国市場に詳しいゲーム会社社員は語る。

「政府文化部は、中国産コンテンツをはやらせたいという方針で一貫しています。にもかかわらず、国内トップ企業が政府の意向を無視してあからさまに日本コンテンツで儲けに走っていることに対して、一罰百戒を狙ったのではないかと考えられます」

 これまでも、中国政府はヒットした日本産のコンテンツに対して規制をかけてきた前歴がある。昨年には『進撃の巨人』や『デスノート』などのアニメをネット配信していた企業に対して「有害なアニメを配信している」と警告。配信サービスを運営する企業は、配信の停止と共に、罰金の支払いを余儀なくされた。この時も日中の企業は頭を抱えた。いったい何が有害なのか基準がまったく示されなかったからだ。

「名目的には、政府文化部が発表済みのゲームなどのガイドラインに抵触しているというのが、規制対象となる理由になります。ただ、突然規制が始まるときは、どこがガイドラインに抵触しているのかよくわからないんです」(同)

 日中の関係者の間で一致しているのは、政府の規制の背景にはライバル業者同士のつぶし合いが確実にあるということである。

「政府としても、常に規制を厳密に運用しているわけでありません。ですから『モンスターハンター:ワールド』はサービス開始前に承認を得ることができました。ところが、ライバル企業から政府文化部に『ガイドラインに違反しているのではないか』という通報が相次ぎ、ならばと政府も規制に動いたとされています」(同)

 ライバルとはいえ、同業者が政府に規制を求めれば、やがては自分の首を絞めそうなもの。だが、それは中国ではごく当たり前に行われているという。

「残念ながら、コンテンツ産業では、ライバル企業を潰すための手段として政府に規制を求めるのは、中国では当たり前のように行われています……これが中国市場のもっとも大きなリスクでしょう」(同)

 改めて中国市場の危うさが浮き彫りになったということか。
(文=ゲーム取材班)

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