『君が望む永遠』誕生から17年…2001年にリリースされたエロゲーを振り返ってみる

 本日、栗林みな実ことMinamiが「君のぞが発売されて、今日で17年。なので、、わたしもこのお仕事始めて17年。いろんなことが変わっていったけれど、ずっと歌ってきました(絵文字)せっかく 続けてきたのだからこれからももっとがんばりたいな。」とTwitterに投稿した。

 “君のぞ”とはâgeがリリースしたエロゲーだ。エロゲーマーであれば誰でも知っているであろう伝説的作品のひとつである。

 当時としては珍しい三角関係に主軸を描いた恋愛アドベンチャーであり、その完成度の高いシナリオと、プレイ終了後に押しよせる感動に業界関係者からは、「月9のシナリオとしても採用できる」という評価されたとかしないとか。しかし、プレイヤーは常に究極の選択を迫られ、その先の展開に泣かされることで、泣きゲーを飛び越えて鬱ゲーと呼ばれることも多々ある。多くのプレイヤーが主人公・鳴海孝之をヘタレっぷりにイライラし、彼はエロゲー界のヘタレ主人公の代名詞ともなった。

 また、『君が望む永遠』はMinami(当時は栗林みな実名義)を一躍有名にした作品でもある。当時、エロゲーはいまほど一般的ではなくオタク文化がそこまで浸透しなかった。エロゲーに出演する声優のほとんどが、別名義での出演というかたちを取る中、名義そのままで出演したのは異例中の異例だった。主題歌も担当し、その歌とダブルヒロインの片割れ・涼宮遙の演技に多くのプレイヤーが涙したことだろう。

 さて、そんな『君が望む永遠』が発売されたのはいまからちょうど17年前の2001年8月3日である。ちなみに、この日にはâgeのデビュー作でもある『君がいた季節』のフルボイス版が発売された日でもあるが、年間を通してみると、いまでも有名な作品が多く発売されている。さっそくいくつか作品を振り返ってみよう。

『君が望む永遠』誕生から17年…2001年にリリースされたエロゲーを振り返ってみるの画像2吸血殲鬼ヴェドゴニア/ニトロプラス

 まずは『吸血殲鬼ヴェドゴニア』だ。現在は虚淵玄をはじめとするスーパークリエイター集団と化したニトロプラスの第2作目であり、発売は2001年1月26日だ。

 同ブランドのデビュー作『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』に続き、当時のエロゲーにしてはかなり硬派でハードボイルドな内容であったため、異色の存在であった。主題歌「WHITE NIGHT」は様式美メタルを基調としたハードナンバーであり、紅白歌手でもあった小野正利(現GALNERYUS)がボーカルを担当したことでも話題であった。

『君が望む永遠』誕生から17年…2001年にリリースされたエロゲーを振り返ってみるの画像3さよならを教えて ~comment te dire adieu~/CRAFTWORK

 お次はエロゲー史上、最狂の鬱ゲーとして名高い『さよならを教えて ~comment te dire adieu~』がCRAFTWORKからリリースされたのが、同年の3月2日である。「言葉、男、狂気、少女、さよなら」というキャッチコピーとパッケージ裏の「現実と虚構の区別がつかない・生きているのが辛い・犯罪行為をする予定がある・何かにすがりたい・殺人癖があるなどに当てはまる場合は購入を遠慮して欲しい」との注意書きの不気味さは、いまだ色あせない。

 発売当時、かなり熱狂的なファンを獲得したものの、セールスは著しくなく今作を最後にブランドは解散している。その一方で作品は口コミによりどんどん伝説化していき、一時期中古市場で驚くほどの価格が高騰した。2011年に「あそBD」でリメイクされ、2016年にはPCダウンロード版もリリースされた。

 そして忘れてならないのが『鬼作』だ。『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』や『同級生』『下級生』などの名作をリリースしたエルフから2001年3月30日にリリーされる。

 当時のエロゲー界は、泣きゲーを中心として物語重視の作品が主流でった。しかし抜きゲーによりそった凌辱中心の内容が大いにプレイヤーを満足させ、10万本という大ヒット作となった。エンディングではロックバンド・人間椅子の「芋虫」が起用されたことも話題となった。

『君が望む永遠』誕生から17年…2001年にリリースされたエロゲーを振り返ってみるの画像5ジサツのための101の方法/公爵

 『ジサツのための101の方法』も忘れてはならないだろう。ちなみに『終ノ空』と先ほど挙げた『さよならを教えて ~comment te dire adieu~』と『ジサツのための101の方法』が日本の三大電波ゲーと呼ばれている。

 この3作のの中でも『ジサツのための101の方法』は地味で知名度が少し下がり、リリースブランドの公爵(デューク)も今作が最初で最後の作品となることで、より作品の不気味さと格を押し上げることになった。

 佐藤裕美の主題歌「ヒカリ」は反社会的な歌詞ということで音源化が見送られ続けたという逸話も、今作の性格をよく表わしている。

 最後に『家族計画』にも触れておこう。今作は2001年11月2日にD.O.から18禁ハートフルコメディーアドベンチャーとしてリリースされる。シナリオは『CROSS†CHANNEL』や『ユメミルクスリ』『最果てのイマ』、最近では『Rewrire』や『少女たちは荒野を目指す』で有名な田中ロミオだ。

 泣きに徹した作品かと思いきや、コメディー要素もふんだんに盛り込まれ、社会的にも人間的にも弱さをもつ人間たちが集まり家族として成長していく様は、多くの感動を呼んだ。コンシューマー化も積極的になされ、多くのプラットフォームに移植された。KOTOKOの歌う「同じ空の下で」はエロゲー史上屈指の名曲としても名高い。

 ここで触れた作品以外にも、『水夏 ~SUIKA~』や『グリーングリーン』、『最終痴漢電車』など人気作がリリースされている。人によって好みや性癖がバラバラなので、今回挙げたゲームには全く触れてこなかったプレイヤーもいるかもしれないが、名前だけは聞いたことがある作品ばかりだったのではないだろうか。

 懐古厨のような発言になってしまうが、このころのエロゲーは奥が深くて難解なシナリオが多く、後の名作となる作品が次々に生まれ、業界も元気があった。まだ過去作に触れたことがないというエロゲーマーはぜひともこの機会にプレイしてみてはいかがだろうか。

 『ジサツのための101の方法』は残念ながらかなり入手困難だが、他のゲームはamazon、FANZA(旧DMM)やDLsite.com、アニゲマ、中古市場で苦労せず手に入る。今回挙げた作品のブラドの多くが解散してしまっている中、古い作品が手軽にプレイできるようになったのは本当にありがたいことだ。
(文=Leoneko) 

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