『アズールレーン』の広告費は1億円超え!?　夏の暑さに早くも負けそうな「夏コミ」スタート！【C94・1日目】

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コミケ初出展の『アズールレーン』。

　朝、家を一歩出たときから、ヤバさを感じた。どんなに準備をしても、今日はヤバいぞと。

　例年にない酷暑の中で始まった平成最後の夏のコミックマーケット。週半ばの台風を挟んで、暑さも和らぐかと思いきや、まったく夏の太陽は容赦ない。いくら暑い日が続いても、まったく慣れることはない。そんな酷暑を予期して、開催前から心ある人々はTwitterなどを通じて、暑さへの備えをイラストや簡便な言葉でアドバイスしていた。そんな準備をしても、熱中症というものは、その日の体調で突然やってくるものだ。

　そのことを示すかのように、午前10時の開場と共に、なだれ込む人の波に混じって、救護室へと車椅子は次々と運び込まれていく。

「止まってくださーい！　道を開けてくださーい！」

　スタッフが連呼すれば、目当ての買い物に急ぐ参加者もパッと足を止め、海が割れるように道ができていく。発狂しそうな暑さの中でも、最後の理性。コミケ参加者の理性は残っているのだ。

　そんな暑さに苦しむ参加者たちの中には、行列の果てにパラダイスへと到達した者もいる。それは、今回企業ブースとなった東7・ 8ホール。そこは、冷房が完備された別世界。 企業ブースへと群がる参加者たちの熱気をも増やす強力な冷房は、神々しく見える。

　その企業ブースの中でも、ひときわ目立っていたのが『アズールレーン』で知られるYostarのブース。今回のコミックマーケットで最新作『アークナイツ』を発表した同社は、 巨大な物販と展示スペースで、大勢の参加者の足を止めていた。

　でも、今回Yostarに驚かされたのは、そこではない。真の驚きは、東ホールのガレリア（中央通路部分）にあった。

　一般参加者であれば、エレベーターを下り出迎えるのが、通路の天井からつり下げされ、延々と続く『アズールレーン』の広告。天井だけではない。柱にも。そして、裏には『アークナイツ』も。それらの広告のイラストは、ひとつとして同じものがないのだ。

　前日の搬入時に、この広告を目撃しあっけに取られたという企業ブース関係者は話す。

「コミックマーケットの開催中に東京ビッグサイトに掲出する広告は、広告代理店の扱いなので詳細な値段は明らかではありません。でも、これだけの広告を打てば広告費だけで一億円は下りません。『アズールレーン』はガチャが優しいなど、様々な理由でいまだに人気です。とはいえ、ここまで広告費を投じることができるとは……」

　その作品人気の一旦なのか、ジリジリと焼け付くような陽射しの中で、必死にカメラの前でポーズを取るコスプレイヤーにも、心なしか『アズールレーン』が増えているような気がした。
　
　そんなコスプレ広場で、ふと耳にした言葉で、今日の報告をしめよう。

　……あるコスプレイヤーを撮影しようと行列に並んでいてカメラを下げた男性が、横の友人に、こう呟いていた。

「ピロートークをしているから、時間がかかるんだ……」

　こんな言葉が出てしまうのも、やっぱり夏の太陽が悪いのか。
（文＝昼間 たかし）