『絶望の楽園』切断したはずの生首が…?奇跡は本当にあるのか!?謎の新興宗教施設から脱出を試みるサバイバルアクションミステリー!

 7月6日、オウム真理教の教祖の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚に刑が執行された。世界を震撼させた地下鉄サリン事件が起きたのが1995年。同年逮捕されてから、実に23年の月日が経過していた。このとき、松本智津夫死刑囚の他にも元同教団の死刑囚7名にも刑が執行されている。

 7月26日には同教団の残りの死刑囚6名にも刑が執行された。これにより、オウム真理教がらみの死刑囚全員に刑が執行され、一応の事件にひと段落がついたかたちとなる。

 しかし、刑の執行には疑問の声が後を絶たない。オウム真理教がなぜあれほどまでに強大化できたのか、根本的な解明ができていないからだ。多くの優秀の若者たちを盲信させ、重犯罪に手を染めさせるまで至れたのか。この最大の謎が明確に解明されない限り、第二の事件が起きないとも言えないからだ。

 教団がテロリストと化した原点となった、坂本弁護士一家殺害からは29年もの月日が経過している。事件を知らない世代が増えたいま、オウム真理教事件とは何だったのか、ていねいに見つめ直す必要があるのではないだろうか。

 さて、オウム真理教事件以降、小説やマンガでは架空の新興宗教団体が登場することが増えた印象だが、今回もそんなマンガを紹介しよう。『絶望の楽園』だ。

 以下が簡単なあらすじである。

 主人公の芦谷透は、何かとおせっかいで世話焼きな八代京子と友だち以上恋人未満な学校生活を送っていた。そんな夏のある日、彼女の家に誘われ、ついにそこで肉体的に結ばれるチャンスが来たかと思うと、新興宗教団体の地下施設に連れてこられてしまった。

 そこでジャーナリストの小鳥遊秋人と出会う。二人で団体の秘密をさぐり、脱出を試みるが、芦谷透が実は教祖の実息という事実を知ってしまう……。

 作中で描かれる新興宗教団体は、期待通りというか例外なくというか、異常な集団として描かれる。例えば信者に禊と称して過酷な肉体労働を課しているし、与える食事は腐りかけの弁当だし、教祖(作中では師父と表現)から儀式を受けた人間がゾンビのように人間を食らうようになったりする。

 しかし、恐怖を煽られる描写かというとそうでもない。どちらかというと、まだ1巻だからかもしれないが、読者に謎を与える教団の紹介的な描写だ。なので、儀式を受けた信者が豹変するシーンもグロさは感じない。

 どちらかというとミステリー色のあるサバイバルアクションマンガのような印象が強く、ハラハラドキドキで読み手側を煽り、読む手を止めさせない。しかもちょいちょい八代京子とのムフフなシーンを盛り込んでくるのだから、さらに手を止められない。

 ただ若干気になるのが、教団のセキュリティーレベルがやたらに低いことと、地下施設があまりにも巨大すぎてファンタジー感が出てしまっていることだ。主人公が簡単に部屋を抜け出せすぎだし、内情把握もこれといった描写もなく行えてしまう。それはいかがなものか。新興宗教ものなので、もう少しリアルな展開を予想していた。しかし、ファンタジー感についてはエンターテイメントマンガなわけだし、許容範囲内といえば範囲内と言えなくもない。

 今後、教団の狂気度があがっていくのか。八代京子以外のサービスシーンは盛り込まれてくるのか。期待したい。
(文=Leoneko)

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『少女支配』(筒井いつき)漂う陰鬱感…人を殺して幸せになれるのか?少女特有の脆さが鬱をさそうゴシックロマンス!の画像2

絶望の楽園 1
掲載誌/レーベル:マガジンポケット
著者:オギノユーヘイ・tos
出版社:講談社

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