『友食い教室』あの有名作品に酷似!? こうしたエログロデスゲームが量産される背景には理由も…

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『友食い教室』第2巻/柑橘ゆすら・沢瀬ゆう

　昨年アニメ化され、色々な意味で一番の話題作となった『王様ゲーム』。金沢伸明氏の同名WEB小説が原作だが、名前くらいは聞いたことがある人が多いのではないだろうか。

　同作はシリーズ化もしている“人気”小説だ。しかし、WEB小説に見られる典型的な設定の甘さや展開論理の稚拙さが色濃く出ている作品なので、熱心なファン以外からの評価はかなり厳しいものがある。

　アニメは良くも悪くも『王様ゲーム』らしさを残すためにか、原作に沿って制作されたものだから、余計に稚拙さが目出ってしまった。そのため、ネット民からは「ベストオブ糞アニメ」認定されるなど、散々な評価を受けた。

　さて、そんな『王様ゲーム』に色濃く影響を受けたマンガが存在する。『友食い教室』である。

　主人公・天野翔太の携帯電話にある日、「友食いメール」なる奇妙なメールが届く。「状態：健常者」「ワクチン：十二指腸」と書かれているのみ。意味不明な内容に、主人公は誰かのイタズラだと思ったのだが、そのメールは学校のクラスメート全員に届いていた。

　ところが、クラスメートのひとり・佐伯小春だけメール内容が一部異なった。「状態：感染者」とあり、さらに「ドナー：天野翔太」とあった。疑問に感じた佐伯小春は主人公を屋上に呼び出し、そのことを相談したところ、彼女の脳天が突然破裂して主人公の目の前で死亡した。

　主人公はパニックに陥る。その後も、クラスメートが無残な死を遂げていく。クラスメートに届いたメールは、感染者という内容のメールを受け取った人はドナーに指定された人間の部位を体内に取り入れる（食す）ことで、死から免れるというデスゲームの案内通知メールだったのだ。

　ここまで書いて、すぐに分かるだろう。『王様ゲーム』と全く設定が一緒なのだ。

　『友食い教室』は、連載開始当初から『王様ゲーム』と内容が酷似していると読者から批判が多かった。また、デスゲーム系にありがちな過剰な残酷描写も多く、特に猫を電子レンジで殺すシーンには批判が殺到していた。

　おまけに『王様ゲーム』同様、設定があまりにもずさん過ぎて現実味がない。クラスメートが派手に死んだ教室で、普通に授業が行われるのである。学校が問題視されることもなく、警察が動くこともなく、事件があたまかも起きていないような状態がくりかえされるという、ご都合主義が過ぎる。その上、謎の隠れ家に主人公と女子生徒の2人暮らしがいきなり開始される強引なエロ展開が頻発することなど、商業の出版する物語としては、クオリティに疑問を持たざるをえない。これでは『少年ジャンプ+』読者から批判が相次いだことも納得できる。

　そもそもWEB小説発のマンガ作品の場合、似たような問題を抱えた作品は多い。しかし、『友食い教室』はあまりにも『王様ゲーム』と酷似しすぎているので、余計に目についてしまうのだろう。

　しかし、こうした作品であっても一概に悪いことだけではないようだ。重宝される面もあるという。どういうことか、業界関係者に話を聞いてみた。

「この手のデスゲームものは人気ジャンルであるがゆえ、何をやっても読者からは設定の被りとか気にされません。『友食い教室』も、派手なエログロ描写もあることから、それなりに読まれている作品です。大きな売り上げを出せるわけではないけれど、安定したPVが取れます。何よりも、エログロなものはキャッチ―なクリエイティブ（※広告バナー）が作れるんですよ。そのためデジタル上で読者を獲得するには使いやすいというメリットがあるんです」（業界関係者）

　確かに、『友食い教室』は驚愕展開ばかりとはいえ、ホラーファンであればそれなりに楽しめてしまう作品でもある。それに、広告バナーは通常300×250ピクセルという狭い枠、場合によってはそれ以上に狭い枠の中で、読者を獲得するための印象的なコマを用意する必要がある。そんなときには『友食い教室』のような派手なグロさとエロさを持ち合わせた作品が使い安いのであろう。

　正直、万人受けする作品とは言えない同作であるが、良くも悪くもWEB発の作品という意味では一読しておくのも悪くない。友人を食べて生き残れるか、というアイディア自体はホラー作品としては面白い。第3巻は8月に発売予定だ。
（文=Leoneko）

【ダウンロードはこちらから！】

『友食い教室 1』
掲載誌／レーベル：少年ジャンプ＋
著者：柑橘ゆすら・沢瀬ゆう
出版社：集英社