『渋谷金魚』(蒼伊宏海)人食い金魚にあふれた渋谷109が地獄絵図!人肉をついばむ金魚の群れが極めて不快な第4巻!!

 人食い金魚が渋谷を占拠するという、斜め上な設定のサバイバルホラーマンガ『渋谷金魚』の第4巻がリリースされた。

 これまでのざっくりしたあらすじは以下だ。

 第1巻以降、主人公・月夜田初と地下アイドル・碓氷アリサは行動を共にし、渋谷の伝説のホームレス・貂たちのアジトにも合流する。渋谷から脱出することを淡々と考えるなか、碓氷アリサが謎の病気を発病してしまう。どうやらそれは、金魚に関係するものらしい。そこで金魚の中でもひときわ異彩を放つアルビノ種「白銀の姫」を捕獲し、血清を作ることになった。「白銀の姫」は渋谷009を巣にしていることが分かっている。そして月夜田初と貂は決死隊を作り、ビルに突入するのだった。

 4巻は、ビルという狭い空間での生け捕り作戦で多数の犠牲者を出していくことが、ますますゾンビパニック映画のよう様相なる。前半は、どこから襲われるか分からないドキドキ感と、ひとり…またひとりと減っていく仲間たちがサバイバル感満載だ。そこかしこに転がる人間の死体に群がり、人肉をついばむ大量の金魚は何度見ても不快だ。後半は、伝説のホームレス・貂の人間離れした無双っぷりがおがめるが、ここまで無双ができるには、何かしら理由が必要だ。ちゃんと設定は用意されているのだろうか。

 4巻終了時点でも、物語のキーとなるアルビノ種の「白銀の姫」はいまだに謎だらけ。普通の金魚たちについても、情報が小出しすぎてほぼ何も分かっていない状態なので、当たり前っちゃ当たり前なのだが、もう少し何か分かってもいいのではないだろうか。展開が早いようで、実はかなり遅いのが今作の特徴でもある。

 サバイバルを押し出した残酷描写がメインで物語が一歩ずつ進む。物語の展開にひとつずつていねいに向かい合っていくのは、ホラーマンガとしては何もまちがっていないのだが、そろそろ大きな進展を期待したいところ。金魚が渋谷を襲うという、B級ホラー映画もびっくりな他に類がない設定を用いているのだから、そのカラクリが一体どういったものなのか、期待している読者は多いはずだ。

 第5巻は秋にリリース予定だという。はたして作戦は成功するのか、失敗するのか。非常に楽しみである。
(文=Leoneko)

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渋谷金魚 4巻
掲載誌/レーベル:ガンガンコミックスJOKER
筆者:蒼伊宏海
出版社:スクウェア・エニックス

金魚妻

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