『殺戮モルフ 3』(小池ノクト・外薗昌也)新たなシリアルキラー登場!?殺戮は殺戮しか生み出さない…悲惨な鮮血のループ地獄

 『鬼畜島』や『パンプキンナイト』でホラーマンガファンにはおなじみのマンガ原作者・外薗昌也の『殺戮モルフ』の第3巻がリリースされた。

 『殺戮モルフ』は「バイロケーション」という、同一の人間が同時に複数の場所で自ら発現させる特殊能力を持った殺人鬼・Mに運命を狂わせられるヒロイン・村崎まどかとその周囲の人間のドラマを描いたスプラッター・サスペンスだ。『鬼畜島』や『パンプキンナイト』もゴア度が相当高い狂った物語だが、『殺戮モルフ』のゴア度もかなりのレベルである。

 しかし、『殺戮モルフ』には『鬼畜島』や『パンプキンナイト』との性格が異なる一面を持つ。『鬼畜島』や『パンプキンナイト』には殺戮行為にある種のエンターテイメント感を持たせているのだが、今作にはその感覚が極めて薄い。ある日、突然池袋に現れ、無差別殺人を決行した殺人鬼・M。無計画な通り魔殺人に思えたのだが、彼には彼なりの理由があった。ある種の哲学的な一面があるのだ。

 殺人鬼・Mは「殺したくて殺したくてたまらない衝動」「誰にも理解されない寂寥感」「自分とはいったい何者なのか。あらゆる書物を読み漁っても解決できない」といったこれらの問題を神に祈っても答えを得ることができなかったがために、世界に宣戦布告(無差別殺人を決行する)したというのだ。自分が世界を潰すか、世界が自分を潰すか賭けてみたというのである。『鬼畜島』は猟奇的なエンターテイメントとしての人間狩りであり、『パンプキンナイト』が享楽的な復讐劇であれば、『殺戮モルフ』は孤独で幼稚な哲学者の起こしたテロリズムと言えよう。

 バイロケーションを駆使して、日本社会を血の海にしていく殺人鬼・Mの行動には賛同できないものの、これまで外薗昌也の作品にはない、精神世界を感じることができる。村崎まどかはなぜか殺人鬼・Mに殺されることがない。殺人鬼・Mは彼女を「同じ匂いがした」と形容する。それは一体どういう意味なのか。

 3巻では殺人鬼・Mが最初の殺戮で生き残ったと思われていた典子の正体が暴かれる。彼女の狂信的な殺人鬼・Mへの想いが新たな殺戮を生み出していく。殺戮は殺戮しか生み出さず、人々は知らず知らずと狂気に巻き込まれていく。

 3巻の終わりで殺人鬼・Mとは無関係に、大規模な殺し合いが示唆される。こうした殺戮の連鎖も殺人鬼・Mの思惑の内なのだろうか。4巻のリリースが待ち遠しくて仕方ない。
(文=Leoneko)

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『殺戮モルフ』第3巻 彼女は模倣犯なのかシリアルキラーなのか?殺戮は殺戮しか生み出さない…悲惨な鮮血のループ地獄の画像2

殺戮モルフ 1
掲載誌/レーベル:ヤングチャンピオン
筆者:小池ノクト/外薗昌也
出版社:秋田書店

蟲姫

蟲姫

この作品も色々ヤバかった・・・。

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