長寿アニメの声優が高齢化問題 『クレヨンしんちゃん』声優の降板で再び懸念される

2018.06.09

テレビ朝日「クレヨンしんちゃん」番組サイトより。

 TVアニメ『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)で野原しんのすけを演じてきた声優の矢島晶子が、6月29日の放送をもって、番組を降板する。

 アニメ公式サイトには、矢島のコメントが掲載されており、「27年間、春我部の『嵐を呼ぶ5才児』と一緒に過ごして参りましたが、この度、野原家から離れることに致しました。理由は、しんのすけの声を保ち続ける事が難しくなった為です。キャラクターの声を作る作業に意識が集中し、役としての自然な表現が出来にくくなってしまった為です」「27年間、ありがとうございました」と降板理由が発表された。

 矢島は現在51歳だが、長寿アニメでレギュラーキャラクターを演じる声優としては若いほう。かねてより問題視されているが、長寿アニメは軒並み声優の年齢が上がっており、突然の死去といった理由で声優を変更せざるを得ないという、悩ましい状況に陥っている。

 ほかの長寿アニメに関しては、『サザエさん』(フジテレビ系)はサザエ役の加藤みどりが78歳、タラオ役の貴家堂子が77歳。そしてこの2人だけが、サザエさん一家で唯一交代していない声優という状態。しかし2代目、3代目となっているキャラたちを見ても、マスオ役の増岡弘は81歳、フネ役の寺内よりえは65歳、サザエさん一家ではないが穴子さん役の若本規夫は72歳と、高齢である。

『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)は、まる子役のTARAKOが57歳、お母さん役の一龍斎貞友は59歳、ひろし役の屋良有作は70歳。友蔵役の青野武さんは2010年に75歳で亡くなり、お姉ちゃん役の水谷優子さんは16年に51歳という若さでこの世を去った。後任の声優たちが後をしっかりと継いでいるが、それでもネット上では「まだ違和感がある」「イメージが固まり過ぎていたから変わったのがつらい」といった声が今でも上がる。

『それいけ! アンパンマン』(日本テレビ系)は、アンパンマン役の戸田恵子が60歳、ジャムおじさん役はマスオと同じ増岡弘で81歳、ばいきんまん役の中尾隆聖が67歳。そしてドキンちゃん役の鶴ひろみさんは17年・57歳の時に急死した。鶴ひろみさんは『ドラゴンボール』シリーズでブルマ役を務めていたが、こちらの作品も孫悟空役の野沢雅子が81歳と高齢。

『ドラえもん』(テレビ朝日系)に関しては、ご存知のとおり、2005年に声優を一新しており、ドラえもん役の水田わさび、のび太役の大原めぐみは共に43歳、ジャイアン役の木村昴にいたってはまだ27歳と、ほかの長寿アニメと比べると平均年齢は低い。

 声優陣を一新してから早13年が経つが、大山のぶ代のドラえもんで育った世代からは未だに「違和感がある」という声が上がる。声優陣の大々的な一新は声優の高齢化問題に対しては効果的だが、新たな声が視聴者になかなか受け入れられないという側面もある。

 長寿アニメには声優の高齢化問題がつきまとうが、声はキャラクターの命。そうやすやすと変更できるものではなく、この先もアニメファンや関係者は向き合い続けなければならない。

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