『暴虐のコケッコー』(須崎洋輔)どこかコミカルな雰囲気を漂わせつつもグロテスクなアニマル・パニックホラー!

 『モンキーピーク』『マシラ』猿によるパニックホラーマンガをたて続けに紹介したが、アニマル・パニックホラーまだまだ無数に存在する。

 その中でも、かなりユニークな作品に入る『暴虐のコケッコー』を今回は紹介しよう。なんともコミカルなタイトルだが、モンスターとなる動物は、なんと“鶏”である。

 まずは第1巻のあらすじを引用しよう。

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 自分を捨てた父、私利私欲にまみれた施設園長など、大人の全てにウンザリしている児童養護施設の最年長・猿児 悠。

 そんな彼の夢は、施設を買い取り、みんなと幸せに暮らすこと。その目標に向かい就職を決め、迎えた高校卒業式。

 だがその日から世界は一変、大人達が巨大ニワトリに姿を変え、子供達を襲い始めたのだ! 悠は子供達を、夢を守り抜けるのか!?
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 モンスターとしての“鶏”が登場するだけでも、なんだかマヌケでコミカルなのだが、『暴虐のコケッコー』の度肝を抜く設定は、“鶏”は人間の大人が変化したものということだ。

 ゾンビになるではない。巨大な“鶏”になってしまう。

 設定だけ考えると、B級ホラー臭がプンプンする。なぜ大人たちだけが、巨大な鶏になってしまったのか。それなりの設定を仕込まないと、ただのトンデモ設定となってしまう可能性が極めて高い。しかし、まだ2巻しかリリースされていないので、理由は明かされていない。今後どんな理由が付けられるのか、それも『暴虐のコケッコー』を読む楽しみのひとつとも言えよう。

 さて、ホラーである以上、怖いマンガであることにはまちがいはない。『暴虐のコケッコー』はそのコミカルなタイトルに反して、描写は非常にグロい。巨大鶏たちは、人間を食らうのである。食人猿ならぬ食人鶏というわけだ。しかも脳みそがお好み。巨大で硬い嘴で人間の脳天を突つき、そこから脳みそをついばむ。

 鶏たちは群れをなし、子供たちを食い散らかそうと襲い掛かるわけで、そういった点では恐怖の楽しみ方は、ゾンビマンガとほぼ同じといえよう。主人公たちは短時間の間に、命の危険にさらされながら、安全と危険が何度も繰り返される。その間に生まれる仲間の不和や、邪魔者の介入など、鶏以外の部分での恐怖も彩られていく。

 一点気になるのが、主人公のキャラクターだ。『暴虐のコケッコー』には仲間・家族との絆が裏テーマに添えられていて、主人公はやたらと正義感が強い。少しうざいくらいに明るく、熱血漢だ。

 こういったキャラは、あまりにも描写が濃すぎると滑稽に思えてしまう。第2巻で登場する、あるキャラクターが殺された小学校の教室のシーンが良い例だ。お涙頂戴を狙ったシーンなのかもしれないが、殺されたキャラクターの登場が唐突で、読者が感情移入できないうちに主人公の感情が沸騰してしまった感があり、主人公が熱くなればなるほど冷笑してしまうような滑稽さが感じられる。その主人公との温度差を楽しむのも『暴虐のコケッコー』の魅力なのかもしれないが。

 今後、どう物語が決着していくのか。第3巻を楽しみに待とう。
(文=Leoneko)

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暴虐のコケッコー 1
掲載誌/レーベル:マガジンポケット
筆者:須崎洋輔
出版社:講談社

初恋心中

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こちらはホラーじゃありません

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