動画配信サービスも、まだこれから……レンタルビデオの減少が制作現場にもたらす危機感

「最近、TSUTAYAが少なくなったな……」そんな会話を耳にする人が増えているのではないだろうか? Amazonプライム・ビデオをはじめ、世界最大手のNetflixが普及するなど、動画配信の急速な普及により、レンタルビデオは過去の産業になりつつある。

 とりわけそれを決定付けたのは、今年2月にTSUTAYAの恵比寿ガーデンプレイス店が閉店したことだ。1994年にオープンした同店は、「置いていない商品はない」といわれるレベルの品ぞろえで、わざわざ遠方から見たい映画を探して借りに来る人もいたものだ。

 音楽CDのほうは、もっと急速に縮小している。先日、久しぶりに新宿のTSUTAYAに行ったら、レンタルCDコーナーはなくなっていた……。もはや、レンタルCDはサービスをやめるくらいに需要がなくなっているのだ。

 近年、レンタルビデオ店としてのTSUTAYAは縮小。親会社であるカルチュア・コンビニエンス・クラブは、出版社の買収や書店事業の展開など、新たな事業へとシフトしている。

 日本映像ソフト協会などが2018年に発表した調査では、17年時点で映像ソフト市場規模は、前年からほぼ横ばいの5,213億円。この中で、有料動画配信の利用者の割合は5年前と比べて3.8倍の伸びとなる13.9%に急増。一方、レンタルの利用者の割合は22.4%減となる26.8%へと下がった。

 ユーザーに映像作品が届く、言わば出口の部分の変容。これは、実制作の現場にも影響を及ぼしている。

「とりわけ低予算の映像作品では、制作費の回収においてDVDの売り上げが重要。中でもレンタルビデオ店は『この程度の作品なら○枚は置いてくれるだろう』と予測することができました。ところが、ここ数年で大きく変わりました。レンタルビデオ店の収益が、従来の半分近くまで下がってしまったのです……」(映像制作会社)

 前述のように、レンタルビデオが減った分、配信サービスは増加しているのだが、売り上げもシフトしているわけではない。「明らかにYouTubeなど、ネットで無料で見られるものに食われている」という関係者の声もある。

 今はまだ、ネット配信への移行期。しばらくは、思わぬところで苦境が続きそうだ。
(文=是枝了以)

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